子どものころ、父の本棚を探検して面白い本を見つけ、1人きりで読むのが好きでした。読書を通じて語彙を増やし、偶然出会った小説に「女性も働かなくては」と決意。保育士を目指したのも、1冊の本のおかげです。

「賢い女が出てこない」とダメ

名作絵本約100作品を生み出した児童文学作家・中川李枝子さん。「最新刊『ママ、もっと自信をもって』が、お父さんお母さん、保育士、先生たちのお役に立てたら」と語る。
名作絵本約100作品を生み出した児童文学作家・中川李枝子さん。「最新刊『ママ、もっと自信をもって』が、お父さんお母さん、保育士、先生たちのお役に立てたら」と語る。

 私は5人きょうだいの上から2番目です。姉、私、弟、『ぐりとぐら』の絵を描いた百合子、そしてその下にも妹がいます。私が生まれたころ、父は北海道大学農学部で研究をしていましたが、その後、東京の高円寺にあった蚕糸(さんし)試験場に就職しました。

 両親とも読書家で、「くだらない本は読むな」「家にある本はどれを読んでもいい」が口癖でした。自分たちがよいと認めた本以外は子どもに読ませたくないのです。特に母は、センチメンタルな童心主義の童話が大きらいでした。

少女小説も、「賢い女が出てこない」という理由で読ませてもらえません。ですから借りて隠れて読みました。戦争で北海道の祖父母の家に疎開するときは、「くだらない本」を自由に読めると、姉と2人で大喜びしたものです。

中川李枝子さんの名言がちりばめられた本著をもっと読みたい方はこちらから
『ママ、もっと自信をもって』(中川李枝子著、定価1200円+税)

『ぐりとぐら』の誕生秘話が、ここにある。
~天才児童文学作家・中川李枝子の歩んだ道、
 日本中のママを感涙させた子育て奮闘記~

戦前戦後を経験し、母として、保育士として、作家として活躍した80年を振り返った貴重な一冊!

◆第一部 子どもと本が教えてくれた
 ~私の保育士時代、子ども時代

 ◎保育園の子どもたちに教えてもらったこと
 ◎みんな、本が教えてくれた
 ◎『いやいやえん』『ぐりとぐら』が生まれるまで など
◆第二部 ママ、もっと自信をもって
 ~悩めるママと中川李枝子さんの子育てQ&A

 Q. イヤイヤ期の3歳の長男についいら立ってしまいます
 Q. 保育園と幼稚園、どちらがいいのでしょうか?
 Q. わが子の成長をついほかの子どもと比べてしまいます
 Q. 子どもと一緒に読むおすすめの絵本を教えてください など

◆豪華付録:中川李枝子著作リスト 96作品をカラーで紹介

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