オトクな金融機関の情報はどうやって集める?

 新たに住宅ローンを組む場合や、すでに借りている銀行との金利交渉で思うような結果が得られなかった場合は、金融機関を探す必要があります。情報をどのように集めればいいのでしょうか。深田さんに、金融機関のそれぞれの特徴をお聞きしました。

 「メガバンクは、金利競争力があるので第一候補となると思います。信託銀行は、金利面では有利ですが、支店数が少ないことと、審査がメガバンクより厳しめであることが難点です。地方在住の方はメガバンクよりもまず地方銀行をチェックするといいでしょう。ネット銀行は、全国どこからでもアクセスでき、金利も低いことが多いです

 「いわば、半官半民ローンであるフラット35は、ローンの証券化という手法を使って、長期の全期間固定金利ローンを提供しています。住宅金融支援機構の商品ですが、窓口は銀行など、民間の金融機関です。国の政策によって、税金を投入した金利割引が行われる場合もあるうえ、窓口によって金利が異なるのでチェックしてみましょう。意外に知られていませんが、借り換えでも利用できます」(深田さん)

 中嶋さんは、都市銀行やネット銀行、地元の地方銀行や信用金庫に加え、新規で住宅ローンを組む場合は、不動産会社の提携ローンなどもチェックすることを勧めます。

 「住宅ローン金利の比較サイトなどもありますので、都市銀行やネット銀行、地元の地方銀行、信用金庫を調べてみるのがいいでしょう。ただし、借り換える際には、新しくローンを組むことになるので、転職などにより給与が大幅に減っていたり、体調を崩していたりすると、審査が通らないという場合もあるので注意が必要です」

 「新規で購入して住宅ローンを組む場合は、不動産会社の提携ローンなども比較してみることをオススメします。金融機関と不動産会社がつながっていることで、物件の審査や住宅ローンに関する手続きがスムーズにいくというメリットがあります。金利が他行と同程度に低ければ手間がかからず楽です」

 「また、注意したいのが、大規模なマンションを新規で購入する場合です。申し込みから完成まで2年ほどかかるというケースもありますが、住宅ローンを組む際に、現在の低金利が適用されるのか、それともマンション完成時の借入時の金利が適用されるのかが、金融機関によって異なります。いざ2年後の借入時になったら、金利が上がっているということも考えられますので、いつの時点の金利が適用されるかを確認しておくといいでしょう」(中嶋さん)

 では、次の2本目の記事から4本にわたって、住宅ローンの上手な借り方、失敗を避ける方法、借り換えについて、繰り上げ返済についてなど、デュアラーの賢い住宅ローンとの付き合い方について、お伝えしていきます。

(取材・文/西山美紀 図版作成/鈴木裕美子)

深田晶恵

ファイナンシャルプランナー(CFP)。(株)生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカー勤務を経て、1996年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情報を発信。18年間で受けた相談は3500件以上。『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂版』(ダイヤモンド社)、『共働き夫婦のための「お金の教科書」』(講談社)等、著書多数。

中嶋よしふみ

2011年にファイナンシャルプランナーのお店・シェアーズカフェを開業。翌年に開設した「シェアーズカフェのブログ」は5か月で月間アクセス14万件を突破。現在は、日経DUALで連載『世間まるごとHOW MUCH』を執筆するほか、数多くの媒体で情報発信を行う。対面では、新婚カップルやファミリー世帯向けのプライベートレッスン・セミナー・相談などのサービスを提供し、特に住宅購入のアドバイスを得意とする。著書に『住宅ローンのしあわせな借り方、返し方』(日経BP)がある。