母子手帳が「日本を代表する技術・文化」として展示

 サミット期間中、世界各国のメディアが詰めていたのが伊勢市に設置された国際メディアセンターだ。国内外から約5000人(事前予想)の記者やカメラマンなどが集結。センターには次世代自動車、最新の技術を使った介護ロボット、環境・エネルギー分野の先端素材など、日本を代表する技術や伝統文化が紹介されていたが、そのなかに一風変わった展示があった。バングラディッシュやメキシコなど世界各国の母子手帳だ。

 実は母子手帳、日本が初めて作ったものであり、それをJICA(国際協力機構)が世界に広め、現在およそ年間800万冊(日本で1年間に発行される母子手帳の数の約8倍)が発行されている。母子手帳は妊娠中の経過や出産の状態、予防接種や乳幼児健診の記録などが記載できるようになっており、紛争地などでも母子手帳だけは肌身離さず持っている母親もいるという。

 また「まほろ」という汎用ヒト型ロボットも展示されていた。創薬などライフサイエンスの研究分野では、煩雑な手作業を果てしなく続ける必要がある。夜中までの作業などが負担となり、女性研究者が出産後に働き続けられないこともあった。本来は「熟練された人間にしかできない」とされていたが作業だが、人間以上の精度と再現性を実現することで、実験期間が大幅に短縮されたのだという。