海女さん「海女は子育てと両立しやすい仕事」と首脳夫人に

 26日午後には「配偶者プログラム」として、参加国首脳の配偶者が参加するイベントがあった。このイベントにはいわゆるファーストレディーだけでなく、ドイツのメルケル首相の夫であるヨアヒム・ザウアー氏も参加した。(他の参加者は安部昭恵首相夫人、カナダ首相夫人、欧州理事会議長夫人)。ザウアー氏は研究者だが、今では「メルケル首相の夫」として有名になっている。

 夫人らはミキモト真珠島を訪れ、真珠博物館の見学や真珠取り出し体験、海女さんとの交流などをした。日本全国で約2000人の海女さんが活動しているが、そのうち約800人が志摩半島(鳥羽市・志摩市)で活躍しているとのこと。この日はベテランの方から若い方まで、85人の海女さんが集まった。首脳夫人らと海女さんの会話のなかで、こんな言葉があった。

代表撮影
代表撮影

海女さん代表の話

 「海女は自由な時間が多い。家のこともできて、子どもの面倒も見られる。短い時間で高収入が得られる仕事なのです(笑)。海に潜っている時間は、近くの祖母が面倒を見ていたりします」

 「潜るときは、潜ることに集中しています。日頃のことを考えるのではなく、海と一体になる。海が私を呼んでいる、潜りたい、海に入りたいと毎日思う。先輩の技を盗んで、競い合いますが、陸では家族以上の親密な絆があります

 「伊勢志摩は豊かな自然に囲まれている。未熟な海女も、技術の高い海女も、サイズの小さい貝を守って自然の保護に努めています。海女たち皆にお気に入りのスポットがあるが、どこかということは個人の秘密」

 海女は自由な時間が多く家庭と両立しやすい仕事!まさにDUAL!ということで、別の海女さんにも、子育てとの両立などについて話を聞いてみた。

松村君代さん(子どもは28歳、25歳、22歳、写真左)
 海女は出産後3カ月は休むけれど、生後100日のお宮参りが終わったらまた海に入ります。海に潜る時間は支度時間もいれて3時間くらい。その間は親戚に子どもを見てもらうのよ。娘も海女をしています。普段は海苔の養殖の仕事をしています。子ども達は小さいときから海に親しんでいるから、小学校に入ったころには自然と潜ってサザエなどを取るようになるの。水泳教室?そんなの必要ないわよ。

山本真依子さん(子どもは小5、小2、小1)
 祖母も母も海女でした。私は子どもが生まれてから1年に20日くらい、決まった時期だけ海に入り始めました。朝は早いからバタバタですが、14時ころには帰れるので子育てとの両立はあまり困らないです。

 首脳配偶者の一行はその後、「鳥羽九鬼軍太鼓」の太鼓の演奏や伊勢音頭を楽しみ、はっぴを着て一緒に踊る場面も。太鼓の演奏をしていた女性達が輝いていたので、そのなかのリーダーシップを取っていた女性にも話を聞いてみた。

奥田珠美さん(子どもは高2、中3、小6)
 普段は市役所職員の仕事をしています。普段は8時半から17時半くらいまでが仕事。子どもが小さいときは保育所に預けながら働いていました。太鼓の練習は夜20~22時くらい。子どもの夕食を作ってから練習に出ています。周りも働いている女性が多いですよ。きょう太鼓を叩いていた女性も、公務員や学校などで働いています。私は働いている方が性に合っているから、専業主婦っていう選択肢はなかったですね。