意見を言う=吠える?

 よく「オトナになれ」なんて言いますが、誰かの意見に反論したり、長広舌を遮ったり、悪意ある決めつけにめげずに言い返すのはカッコ悪いことでしょうか。そりゃあ、口数少なくスマートに物事を処理する方が、パッと見は洗練されて見えますね。 

 では、洗練されて見えることを優先するのと、カッコ悪くても発言して、物事が最悪の方向に流れていくのを阻止するのと、どちらが知的でしょうか。どちらが建設的で、勇気ある行動でしょうか。どちらが会社を、あるいは世の中を、よりマシにするでしょう?

 そもそも意見を述べることは「吠える」じゃないし、反論するのは「噛み付く」じゃないし、議論するのは「ケンカ」じゃありません。反論を「攻撃」だと思う人は、意見が違う相手はみんな敵だと思っているんでしょうか。でも、意見が違っても仲のいい人はいるし、大嫌いな人でも、同じ意見のことはありますよね? また、意見をワガママとか自己顕示と勘違いしている人もいます。あいつ目立とうとしやがって、とか。

 テレビやネットでもそうですね。若い女優さんが意見を言ったら「まさか社会派!?」、芸人さんが意見を言えば「ご意見番ポジション狙いか?!」って騒ぐけど、人に意見があるのは当たり前じゃんか、と思います。真面目に働いて生きていれば、誰だって世の中のことぐらい考えるわ。「あいつ、なんか真面目じゃね?」って中学生みたいにからかうか、「勘違いしちゃって」とこきおろす。そういう切り口でしか人の意見を扱えないのは、ほんとに貧しいことだと思います。