共働き夫婦の子育てに、パパの協力は必要不可欠。「“PaPa力”アカデミー」の連載では、父親が果たすべき役割について考えます。今回お話を伺ったのは3人の子どもを育てながら、舗装されていない山道を走るトレイルランニングのプロ選手として第一線で活躍し、さらに親子で参加するトレイルランニングセミナーなども多数開催する奥宮俊祐さん。子どもとの関わりについて父親の等身大な意見を語っていただきました。

奥宮俊祐(おくのみやしゅんすけ)
1979 年東京都世田谷生まれ。東海大学卒業後、パン職人から自衛隊に入隊。2004年、第13回日本山岳耐久レースに初出場にして3位に入賞したことをきっかけに、トレイルランニングへとのめり込む。その後、数々のタイトルで1位に輝き、2015年3月には独立して個人事務所「FunTrails」を立ち上げる。現在は子どもと参加するトレイルランセミナーを開催するなど、その活動の幅を広げている。

トレイルランニングは自然の中でやる大規模な外遊び

2015年8月21日に御岳で奥宮さんが開催されたトレイルランニングセミナー
2015年8月21日に御岳で奥宮さんが開催されたトレイルランニングセミナー

――奥宮さんはプロトレイルランナーとして活躍する傍ら、親子で参加するトレイルランニングセミナーも開催していらっしゃいます。親子で参加するメリットや魅力を教えてください。

 トレイルランニングは、登山道や舗装されていない山の中を走るスポーツです。そのため、水や食料、レインウエアなど自分の身を守る物を専用のザックに入れて走ります。トレイルランニングでは、マラソンと登山の両方を楽しめるんですよ。

 魅力としてはやはり、自然と触れあえるというのが一番ですね。山に行くと街では絶対に見られない景色が見られます。レースももちろんいいのですが、うちの子どもなんかは、何を拾う? と木の実を拾ったり、これって何の虫といろんなものを見つけてきたりしますね。

 それに、山って一度入ると登ってから降りてくるまで結構な時間がかかるんですね。その時間に子どもとたっぷり話せるし、子どもの成長も感じられる。僕の場合だと、最初は途中でだっこやおんぶをしなければ登れなかった山を、子どもが1人で最後まで登れるようになった時は成長を感じましたね。

 ただ、場所が山なので一歩間違うと命を落とす可能性もありますし、山特有のルールやマナーなどもあります。だから、はじめのうちは僕がやっているようなセミナーに参加することをオススメします。トレイルランニングといってもずっと走っているわけではなく、景色がよいなと思ったら写真も撮ったりするんですよ。僕のセミナーだとおやつ休憩の時間を入れたり、参加者や天候に合わせてペースを変えたりしています。

 昨年の夏には、御岳でトレイルランニングとボートで川下りをするラフティング、さらにバーベキューをできる親子セミナーをやりました。朝9時に集合して参加者全員で岩茸石山を登って、降りてきたらおやつを食べる。そのあとラフティングに挑戦して、夕方5時からはバーベキュー。体力的にかなりきついので大丈夫かなと心配していたんですが、みんな楽しそうに参加してくれました。その時の参加者は小学校1年生が一番下でしたね。今後は親子で雪遊びができるセミナーも開催したいと思っています。

御岳でのセミナーで行ったラフティング。みんなが笑顔で楽しそうなのが印象的
御岳でのセミナーで行ったラフティング。みんなが笑顔で楽しそうなのが印象的

 「トレイルランニングって難しそう」だとか「ハードルが高い」だとかいう声をよく聞くんですが、「1回来てみてよ!」と思います。それこそ、体力的には皇居を1周走ることができれば充分です。いきなり30kmや40kmは無理ですが、10kmくらいのコースなら初心者でも挑戦できます。はじめのうちは親子でやる外遊びだと思って、はじめていただけたら嬉しいです。