スポーツライターの中には、物事を1年ではなく4年、もしくは2年のスパンで記憶していく人間がいる。

 わたしも、その一人である。

 サッカーもワールドカップが開かれるのは4年に一度。オリンピックが開催されるのも4年に1度。両方あわせると2年に1度。なので、記憶を呼び覚ますときはこんなふうに思考回路が巡ることになる。たとえば、自分が大学を卒業したのは何年だったかを思い出したいとき。

 「メキシコ・ワールドカップを見に行ったとき、俺は大学3年だったから、卒業したのはその1年半後、88年の3月か」

 ご存じの通り、今年はリオ・デ・ジャネイロでオリンピックが開催される。夫婦2人と犬3匹で暮らしていた我が家に、もう一人人類が加わったのは、なでしこジャパンが銀メダルを獲得した4年前──ロンドン・オリンピックの年だった。

ガラケー愛用者のわたしがあっさりとスマホ・ユーザーに転じた理由は息子

 考えてみれば、あのころ、わたしはガラケーを使っていた。

 スマホなんかいらねーよ。ガラケーで十分。

 そううそぶいていたばかりか、ガラケーからスマホに機種変更していく友人たちを「時流に流されやがって」と口汚く罵っていたわたしがあっさりとスマホ・ユーザーへと転じたのは、むろん、虎(息子・仮称)に原因がある。

 どういうわけだか、わたしは若いころから写真が大の苦手だった。カメラの前でポーズをとるのも嫌いだし、記録として残された自分の写真を見るのも嫌い。なので、10代20代のころの写真はほとんど皆無と言っていい。初めて単行本を出した時も、その次の単行本も、そのまた次の単行本も、著者近影は断固としてお断り申し上げた。

 もう一つ言うと、わたしは写真を撮るという行為自体も嫌いだった。若いころに何かの本で読んだ、「スナップ写真を撮るという行為によって、記憶に刻もうという想いが希薄になってしまう」みたいなことを、心の底から信じてしまったのだ。なので、一世を風靡した『写ルンです』なんて、購入どころか触ったことすらなかった。

 だが、虎の誕生ですべては変わった。

次ページから読める内容

  • 4年分の写真を見返して、ふと思ったこと
  • 0歳児の親にとって、毎時間、毎分、毎秒は、それぞれに特別な瞬間だった
  • 子どもも変わったが、親のほうも確実に変わってきている

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