「小学校でのプログラミング教育必修化へ」というニュースが話題です。政府が先日発表した成長戦略の素案で、2020年以降、小中学校でプログラミング教育を必修化する方針が盛り込まれるなどしたからです。子ども向けプログラミング教室も増えています。

 そんな中、フィンランドのIT企業リアクター社が、5月14日、千葉県の幕張メッセで、子ども向けプログラミング・ワークショップを行いました。その名も「ムーミン・コーディング・スクール」。教育大国フィンランドからやってきたプログラミング教育とは、どのようなものなのでしょうか。

フィンランドでは義務教育にプログラミング教育

 フィンランドでは、2016年夏から義務教育のカリキュラムにプログラミング教育が導入されます。また学校の外でも、2014年から様々な企業や団体が、子ども向けのプログラミング・ワークショップを開催しています。今回、日本で「ムーミン・コーディング・スクール」を開催したリアクターによれば、フィンランド国内では現在までに100回以上ワークショップが開催され、1000人以上の子ども達が参加しているとのこと。中でもリアクターは、フィンランドにおける「プログラミング・ワークショップ」ムーブメントのいわば先駆者的存在です。

 もともと、リアクターのプログラマーであるユハさんが、4歳の娘にプログラミングを教え始めたことがきっかけで評判となり、やがて社外に向けてプログラミング教室を開くようになりました。ユハさんとともにプログラミング教室を立ち上げたリアクターのヴィッレさんは、「初めて教室を開いたときは、たいした宣伝もしていないのに15人の定員に対して300人もの応募があり、ニーズの高さを実感した」と言います。

 そんなリアクターが5月14日、幕張メッセでプログラミング・ワークショップを行いました。リアクターが日本でワークショップを行うのは今回が初。参加したのは、5歳から9歳までのおよそ20名の子ども達です。

 ワークショップではまず、リアクターのスタッフが、この日使うオンライン教材について、実際の画面を大きなスクリーンに映しながら説明しました。この教材は、リアクターが独自に開発したもので、「コマンド(命令)」と「実行結果」を、感覚的に体得できるように作られています。コードを書く必要はなく、簡単な操作でコマンドを与えると、パソコンの画面上で飛行機がそれを実行します。与えられたコマンドにより、飛行機は、様々な線や図形を描いたりするようになっています。

 子ども達は、最初こそ、少し緊張した面持ちでしたが、パソコンを触り始めて15分もすると、「何これ!」「おもしろーい!」「すごい!どうしてこうなるの?」という声があちこちから上がり始めました。様々なコマンドを実行していくうちに、色々なことができる面白さを発見したようです。中には、自分が与えた「コマンド」に対する飛行機の動きを見て、大爆笑してしまう女の子の姿も。教室の中は、時間の経過とともに、たくさんの驚きや興奮で満ちた空間になっていきました。

 同伴の保護者や、リアクターのスタッフの助けも借りながら、およそ1時間、子ども達はプログラミングの世界を楽しみました。ワークショップの終わりには、ムーミンがあしらわれた「修了証書」が1人ひとりに手渡されました。