デジタル技術の背後にある仕組みを理解することは、これからの時代に必須

 「5歳の子どもにどうやってプログラミングを教えるのだろう?」と疑問に思いながら取材に行きましたが、実際、リアクターのスタッフが子ども達全員の前に立って「教え」た時間は、5分ほど。残りの時間はすべて、子ども達が実際にやってみる時間に充てられて、必要に応じてスタッフが個別にアドバイスに入るという形でした。

 「この図形を作りましょう」という課題が与えられるわけでもなく、子ども達が一人ひとり自由に手を動かして、コマンドを試していたのも印象的です。ヴィッレさんいわく、教え方に関しては「説明を聞いたり本を読んだりする授業ではなく、材料を与えて、子ども達に好きにやらせる。そして、何が起こるのか子ども達自身が体験する。”Doing” を重視しています」とのことでした。

 そもそも、なぜ、子どもにプログラミング教育なのか。ヴィッレさんはこう考えています。

 「私達は現在、スマートフォン、タブレット、パソコンと、様々なデジタル技術に囲まれて暮らしていて、世界はますますその傾向が強まっています。そんな中、子ども達が、それらの背後にある仕組みを理解することは大切なことです。将来プログラマーになるわけではなくても、放課後にピアノやサッカーをやるのと同じように、“プログラミングをやってみる機会”を子どもに与える必要があります。それで興味を持った子は、さらに勉強すれば良いんです。また、プログラミングの仕組みを学ぶことは、論理的思考を養うことにも役立ちます」

 では、プログラミング教育を始める年齢はどれくらいが良いのでしょうか?

 「一概に何歳がいいとは言えませんが、リアクターの場合は5歳から9歳を対象にしています。5歳くらいになると、数分間、集中して物事に取り組むことができるからです。プログラミングは、コマンドとその結果で成り立っているので、ある程度の集中力がないと、結果を得る所まで行けません。だから、2分くらい、1つのことに集中できるようになってからが良いのではないでしょうか」(ヴィッレさん)