留学は長くなっている? 短くなっている?

 まずはこちらのグラフを見てみましょう。

 上記のグラフは日本からの留学生の数の推移です。20年前、1996年の日本人留学生は5万9460人。それが、右肩上がりで増え、ピークの2004年には8万2945人に。ところがその後、勢いが衰え、2011年には5万7501人にまで減りました。そして、少しの盛り上がりを見せて、JASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)調べによると、2014年では8万1219人にまで増えているのが分かります。

 このグラフを米国系留学エージェントに勤めた経験を生かし、これまで1000人以上の留学志望者を見てきた大川さんは次のように分析します。

留学ソムリエの大川彰一さん
留学ソムリエの大川彰一さん

 「20年前と現在で大きく異なるのは留学の期間ですね。例えば20年前には、まだ大学生以下の生徒が留学する数は少なく、大企業からMBAなどの単位取得のためといった専門的な長期留学が主でした。それが英語を学ばせる必要性から、日本の高校・大学と海外との留学協定校が増え、短期の語学留学が増えてきたと考えられます。語学研修という形で、1週間から3週間程度の滞在を希望する学生が非常に増えているといえるでしょう」(大川さん)

 実際に、最近の留学生数の推移の内訳を詳しく見ていくと、大きな伸び幅がある層があります。そのグラフがこちら。

 2009年から2014年にかけて留学生の内訳を見てみると、1カ月未満の留学生数が、1万6873人から4万8853人と3倍に増えています。伸び率は留学期間が長くなるほど小さくなり、1年以上留学する人の数は、5年間でほとんど増えていません。

 一方、親達はどれくらいの期間、留学させたいと考えているのでしょうか?

 上記の通り、「1年以上、2年未満」が最多で85人となり、それ以上という人も大勢いました。しかし、これに対し、実際の留学の期間は1カ月未満という留学が非常に増えています。このような親の期待と実際の留学のギャップに加え、「最近では渡航先にも変化が見られる」と大川さんは言います。