──2013年11月に起きた中2の男子生徒が自殺した事件で、市教育委員会の第三者調査委員会がいじめの存在を認め、「学校の対応次第で自殺を防げた可能性は否定できない」とする答申をまとめました。
こういった事件が起きると、必ず「いじめを見つけよう」という話になりますが、そもそもそこが違う。集団がある限り、必ず「いじめ」は起きます。
いじめが起きやすいのは、「入りやすく」「見えにくい」場所。これまでお話ししてきた「犯罪が起きやすい場所」と同じなんですよ。たとえばインターネットやLINEなどのSNSは、まさに「入りやすく」「見えにくい」場所。だから、こういう場所ではいじめが起きやすい。また、大人はそこで起きていることに気付けないんです。学校内であれば、トイレや体育館の裏などが、「入りやすく見えにくい場所」ですね。
──なぜ、いじめが起きるのでしょうか。
いじめは、子どもの世界に限ったことではありません。大人の世界にもいじめはあります。会社でのいじめも日常茶飯事です。パワハラ、セクハラ、マタハラ、モラハラ、アルハラなども、いじめです。
しかし、大人のいじめと子どものいじめは、根本的な違いがある。大人の世界では立ち位置が違い、それを知ったうえでいじめを行います。つまり、理由がはっきりしている。だいたいは、嫉妬や羨望が原因です。であれば、自分の弱みを見せたり、わざと失敗したりして、相手に優越感を与えればいじめは弱まります。
しかし子どもの世界では、立ち位置の違いがわかりません。つまり、子どものいじめには理由がない。強いて挙げれば、「暇であること」が最大の原因です。だから、「こうすればいじめられない」という対策の立てようがない。実は、そこがやっかいなんです。