晩婚化・晩産化で育児と介護の時期が重なり女性の負担増

 ちなみに母親の睡眠時間は、子どもが大きくなるにつれて短くなります。高校生の子がいる母親の平均睡眠時間は6時間ちょっとです(図2)。

 早朝の弁当作りなど、早起きを強いられることが多くなるためと思われます。また最近は晩婚化(晩産化)が進んでおり、育児と介護の時期が重なるようになっています。図2のグラフは、そうした「ダブル」の負担が女性に偏っていることの証左です。こういう状況から、「子育てに我慢を強いられている」「自分がかわいそう」「周囲の理解がない」といった悩みが出てくるのかもしれません(表1)。

 大都市の東京のデータですが、子どもの発達段階による育児危機をメニュー化してみると、このような感じです。子育て中の皆さんにご覧いただき、ご自身の悩みを相対視するのに使っていただけたらと思います。これから生じてくるであろう危機を予見し、備えていただくのもよいでしょう。

重要なのは、子どもと接する時間の多寡ではない

 ここまでお読みいただいて、皆さんの顔はさぞ曇っているだろうと思いますが、最後にそれを晴らして差し上げましょう。

 世には心ない言説が飛び交っています。曰く、「共働きだと子育てがおろそかになる」「3歳までは母親が付きっ切りで育てないと、子どもの人格形成に悪影響が及ぶ(3歳児神話)」など。

 しかし、「親から愛されている」と感じている子どもの割合は、共働き世帯で高くなっています(図3)。日本が他国と比して低いことはさておき、共働き世帯において、親の愛を感じている子どもが相対的に多いことは注目されます。

 子どもは親の背中を見る、ということでしょう。自分のために頑張ってくれているママ・パパの無言の背中は、子どもに訴えるものがあるのですね。重要なのは、子どもと接する時間の多寡ではないのだな、と感じます。