お互い、言いたいことは言って根に持たない

―― まさみさんは浅草育ちで、結婚するまで浅草に住んでいらしたのですか?

まさるさんは洗い物の手が空くと、コーヒー豆をひいてコーヒーを淹れてくれました
まさるさんは洗い物の手が空くと、コーヒー豆をひいてコーヒーを淹れてくれました

まさみ そうです、25歳までいました。今は浅草にもしゃれたケーキ屋とかパン屋とか、色々お店が増えていて、結構変わってきているんですよね。

 三社祭のたびに、友達に会いに行きがてら、おみこしを担ぎに戻っていたのですが、ここ数年はちょっとさぼっています。まだ友達にはちゃんと担いでいる人もいますが、お祭りも外からの人が担ぎに来ていたりもします。

まさる オレは樺太生まれ。15歳のときまで、樺太にいたんだ。去年、息子とまさみちゃんに63年ぶりに連れていってもらって感激したんだよ。

―― まさみさんとお義父さんは本当の親子のように仲がいいですね。ただ、言ってみれば職場も一緒です。ぶつかることはないのですか?

まさみ しょっちゅうケンカしてますよ。

まさる だいたい料理のことでケンカになるかな。試作をしたら、やっぱりお互い食べてもらわないとだめでしょう? こっちが自分の意見を言うと、まさみちゃんも意見を言う。だいたい上から目線でね(笑)。

まさみ そんなふうには言ってないんだけど、そう受け止められるんですよね。気が付くと険しい顔をしている(笑)。

―― そうなってしまったら、修復は難しい?

まさみ いいえ、お互い言いたいことを言って、根に持たないんです。私は浅草育ちのせいなのか、友人にもそういう人が多いですよ。言いたいことを言ったらスッキリして、気にしない。

まさる 30分もすれば話しかけてくるよ、まさみちゃんが。

まさみ 私は、どうしても遠回しに物が言えないんです。どっちかと言うとお義父さんのほうが部屋に閉じこもっちゃう。そうすると、トントントンって私のほうが部屋のドアをノックして、「ちょっとー、さっきのことだけど」って。