自分が決めたことを「やり切る」成功体験を積む

Step①: 子ども自身の「こうなりたい」=ゴールを引き出す

 まずは、子どもの「自分の未来のありたい姿」を一緒に探します。ここでの親の役割は、主役である子どものお手伝い。子どもが心の底で思っていることを引き出したり、それを言葉にしたりする役割を担います。

 弊社のトヨタ出身のトレーナーがお客様であるメンバーと目標設定を行う際にも、メンバー自身の思いからスタートするのが基本です。メンバー自身の思いが入っている目標になることで、初めて「やり切る」力が湧いてくるのです。

 「こうなりたい」を探す取っ掛かりとなる例を、以下にいくつかご紹介しますが、様々な切り口でどんどんお子さんに質問してあげてください。

 1つ目は、子どもの身近にいる年上のお兄さん・お姉さん。自分にはできないことができて、自分の知らない世界を知っているという存在に憧れを抱く子どもはたくさんいます。「○○ちゃんみたいに、××な年長さんになりたい」というように、お兄さん・お姉さんのイメージを具体的な言葉に落とし込んでいきます

 2つ目は、テレビや絵本のお気に入りのキャラクター。「え!」と思う人もいるかもしれませんが、「好き」という感情の背景には当人の憧れや満たされない何かがあるケースがあります。大人であっても同じで、好きな芸能人などを思い浮かべていただくと分かりやすいかもしれません。決してキャラクターのコピーになることを目指すのではなく、キャラクターをきっかけに子どもの「こうなりたい」を探っていくのです

 3つ目は、子どもがワクワクしたときや楽しかった思い出やエピソード。感情が動いているときには、本人の志向が隠れていることが多くあります。子ども自身の経験を入り口にするのも一手です。

 以上3つの切り口をご紹介しましたが、本人が心から「こうなりたい!」と思えるものであることが最も重要です。繰り返しになりますがここでの目標は、子どもが自分で決めたゴールを達成するために、最後まで「やり切る力」をつけること。親好みのゴールにするために、「こっちのほうがいいんじゃない?」と必要以上に親が誘導尋問するのはNGです。それでは子どもの「こうなりたい!」気持ちがなくなり、子どもの「やり切る力」の源泉とはなりません。

 年齢が低い場合や、このプロセスを初めてやる場合には欲張り過ぎず、時間軸や対象範囲を絞るようにしてください。わが家でも、当時4歳の長女が初めてトライしたときには「朝はちゃんと起きよう」という目標から始めました。

 この段階では、1回でもやってみる気持ちと、やればできるんだという達成感を子どもに感じてもらうことが第一。子どもと相談して子どもが喜ぶ、かつ、回数が上がるに伴ってバーションアップするご褒美(10回でジュース、20回でキャラクターのソーセージなど)も特別に織り交ぜました。

年齢が小さい、初めての試みのときには、このように簡単なものでもOK
年齢が小さい、初めての試みのときには、このように簡単なものでもOK

 それから2年後、6歳になるころには自分で決めたことを「やり切る」というプロセスは身に付いたので、項目数を増やしました。さらに発展した現在のシートについては次回の記事で詳しくお伝えします。

少しずつ発展してきた。でもまだ、シンプルなつくり
少しずつ発展してきた。でもまだ、シンプルなつくり

 とにかく最初から欲張り過ぎないこと。最初は、親の視点では小さ過ぎると感じるゴールでも、自分が決めたことを「やり切る」という成功体験を積むことを大切にしてください。子どもの成長と親の日々の試行錯誤を通じて、取り組みが発展していくプロセス自体を楽しみましょう。