子どもが成長するにつれ、親子で楽しめる遊びはぐんと幅が広がっていくもの。22歳社会人と高校生の息子を持つ著者・小栗雅裕さんが息子達に、「大人の世界はこんなに面白いぜ!」と伝えるこの連載。今回は大の魚好きなのに自分で魚を下ろしたことがないという息子達に、小栗さんが魚の三枚下ろし術を伝授。食卓に並んだ料理を食べるだけでは見えてこない新鮮な驚きがあったようです。

魚を代わりに下ろしてくれるサービスもあるが…

 スーパーで最近よく見るのが、骨抜きした魚の切り身。そりゃ、食べやすいでしょう、確かに。でも、なんかちょっと違う。

 うちは魚の骨がイヤだと子どもが言ったら、骨があるからおいしいんだよって教えてきた。「肉は骨の近く、魚は皮の近くがおいしい」というのもよく言っていたので、魚は皮も残さない。あと目玉の周りもおいしいから、これは兄弟で取り合いになる。幸いなことにたいてい2個あるので、事なきを得ているが、干物の目玉も食べられるか聞かれたときには、「そこまで好きなのか!」と驚いた。

 そんな魚好きの息子達なのに、自分で魚を下ろしたことはない。兄は小学校の授業でアジを下ろして干物にした経験があるけど、遠い昔のことでかすかな記憶しかないという。かまぼこも作る小学校だったのに、身に付いてない。ダメじゃん。

 できる人には何でもないことだが、魚を下ろすのはハードルが高いらしい。魚屋さんはもちろん、ほとんどのスーパーで調理サービスはしてくれる。

 つい最近も、「タイを刺し身用にお願いします」と頼んでいる女性がいた。担当者が「アラはどうしますか」って聞いていた。その女性は「要りません」と。私は耳を疑った。思わず、「ください」って言いそうになった

 タイの頭は焼いても、蒸してもおいしい一品料理になるし、骨もいいだしが出る。捨てるところはエラだけだと思うんだけどね、もったいない。

 便利なサービスだけど、DUALの読者がスーパーに駆け込む時間帯には無情にもサービス終了の貼り紙。そんなとき、夕方でお買い得になった尾頭付きの魚をパパが買ってきてささっと下ろしてくれたら、断然カブが上がりますよね。ということで、魚が下ろせるとモテるというお話です。

包丁を使うときは真剣に。出刃包丁は重いから扱いもより慎重に
包丁を使うときは真剣に。出刃包丁は重いから扱いもより慎重に