お国柄がにじみ出る世界の子育て事情を、各地に住むライターのリレーでリポートしていくこの連載。今回は中国です。祖父母や保母さんによる子育ては普通、母親は遠くで働いたり、留学したりもよくあること、とのこと! 日本でもそういう家庭は存在しますが、もっと当たり前に「ママ一人が子育てするわけではない」という価値観が根付いているようです。中国・海南島に住む林由恵さんにリポートしてもらいます。

中国では祖父母が子育て

 日本よりも「家族」のつながりが強い中国では、一般的に「出産後の子育ては、祖父母が行う」という意識がある。女性は出産後も仕事を続けるのが普通であり、授乳以外の子育て部分は祖父母の仕事だ。そして子育ては退職後の祖父母の大きな楽しみの一つでもある。

 もともとは2人だけの生活だった夫婦でも、出産後は祖父母と同居というケースが多い。祖父母の家で同居する場合と、祖父母が夫婦の家にやってくる場合の2パターンがある。

 私の友人夫婦のお宅は、出産後は祖父母が夫婦の家にやってきて、同居している。祖父が子どもと散歩に行っている間に、祖母は夕飯の支度をしてくれる。そして夕食時も子どもにご飯を食べさせるのは、祖父母の仕事。私の友人はというと、のんびり私とおしゃべりしながら、自由に夕食を取ることができる。

 先日もここの夫婦は子どもを祖父母に預けて、1週間の国内旅行を楽しんできたという。日本だったら、とても1歳児のいる女性の生活とは思えないが、中国では子どもを祖父母に預けて夫婦で旅行を楽しむことは、よくあるらしい。

 またもう一人の友人宅では、同じく祖母が夫婦宅に来て同居して子育てをしているが、そこには夫の弟夫婦の子どもも同居している。つまり祖母、友人夫婦、夫婦の子ども、夫の弟夫婦の子どもの5人家族だ。面白いのは、そこに弟夫婦はいない。つまり弟夫婦は子育てを完全に祖母に任せて、都市部で夫婦2人の生活をしているのだそうだ。

 「まだ若いから、子育てできないし、仕事があるから、お母さんに任せているの」と弟夫婦は言う。

幼稚園のお迎えをする祖父母
幼稚園のお迎えをする祖父母