全く問題がない“完璧”な家庭はありません。子どもの成長とともに訪れる課題に全員が「チーム」として取り組み、自分達らしい家族を形成すること――それが「ファミリー・ビルディング」の考え方です。幼児教育を通して6000人以上の子どもと接し、数多くの家庭をコンサルティングしてきた山本直美さんが、悩めるデュアラー世代へアドバイスします。第4回のテーマは家族が出す「ヘルプのサイン」。なんだか、家族が元気がない、五月病かも?と思ったら必読です。

 こんにちは! チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美です。

 親も子も、新しい環境に慣れてきたかな? と思ったころにやってくる五月病の季節。お熱を出したり、保育園や学校に行きたくないと駄々をこねたり、ぐずったり……。子どもが出すサインは分かりやすいものです。だけど、ついつい後回しにしてしまいがちなのが、夫や妻が出している「ヘルプ」のサイン。お互いの不安や不満に気づいていますか?

 今回は、パパ、ママ、子ども、それぞれが出す「ヘルプのサイン」と、その対処法についてお伝えします。

子どもには前向きな声かけとスキンシップで対応

 まず、子どものサインについて考えてみましょう。保育園や幼稚園へ向かう途中や預ける際に、「行きたくない! パパ・ママと一緒がいい!」と泣くことがあると思いますが、親御さんには心配しなくて大丈夫とお伝えしています。子どもも環境の変化に慣れようと、一生懸命頑張っている時期です。一過性の場合もあり、親の対応次第ですぐに落ち着くこともあります。

 見送りのときに泣かれると後ろ髪を引かれる思いになりますが、これは「自分のことを忘れないでほしい」という子どものサイン。「待ってるからね。必ず帰ってくるよね?」という気持ちを言葉でパパやママに言えないから泣いてしまいます。寂しくなって泣くというよりも「忘れないでね」という子どもの気持ちがこもっているような気がします。

 こんなときは「ありがとう! パパやママも頑張るから一緒に頑張ろうね」と前向きに声をかけましょう。「ごめんね。何かあれば先生に言おうね」と言うのはNGです。

 「何かあれば先生に言おうね」という言葉は、“何か良くないことが起こる”ことが前提になっています。もし、少し体調が悪いなど心配なことがあれば、先生にそっと伝えておきましょう。不安な気持ちにさせてしまうので、子どもには言う必要はありません。

 一方、お迎えの時間に泣いている場合はどうでしょうか。間際にケンカをしてしまったなどのアクシデントであれば問題ありませんが、パパやママの顔を見たら泣くことが続くのは、我慢してこらえていた思いがあふれてしまったとき。「頑張ったんだね」と優しく声をかけてあげましょう。

 慣らし保育が終わってからも、一日中ごはんを食べないほど泣いているのは、まだ環境に適応できていないということです。食欲の他にも、夜泣きなどにサインが出てくることもあります。このような様子が見られる場合には、おうちでのスキンシップの時間を増やしてみましょう。子どもは体に触れてあげると一番落ち着きます。

 帰宅後は忙しいでしょうが、夕飯を1品減らしてでも、子どもと一緒にリラックスする時間を大切にしてみましょう。お風呂、ごはん、寝る前の時間などをゆったり取り、とことん付き合ってあげる気持ちで接してみてください。パパやママがあまり神経質になり過ぎないことも大切です。