幼児期から小1にかけてが、子どもの学習にとって1つの山場

DUAL編集部 働く親が子どもと過ごせる時間は限られています。どのように子どもの学習をサポートしたら良いか、アドバイスを頂けますか。

隂山 親は、子どもが困ったときに助けてあげれば良いのであって、つきっきりで勉強をみられないからといって気にすることはありません。親が長時間ついて、難しい問題をたくさん解かせなくてはと思うから、「それができない自分はダメだ」と思って、自分を傷つけてしまうでしょう。そんなふうに落ち込む必要は全くありません。「自分はダメだ」と思ってしまうと、笑顔がなくなり、子どもは集中できなくなります。すると子どもは結果を出せず、親はさらにイライラするという負のスパイラルに陥っていきます。

 私はダメだ、とは決して思わないでください。世の中に「悪い母親」はいないんです。「悪い方法」があるだけ。「悪い方法」は「良い方法」に改めれば良い。

DUAL編集部  良い方法とは具体的にどのようなことですか。

隂山 みなさん、「勉強」というと、内容と結果ばかりに目を向けがちですが、一番大事なのは、「正しい勉強方法を習得すること」です。特に低学年のうちは、これを意識する必要があります。

DUAL編集部 なぜ低学年で意識することが必要なのでしょうか。

隂山 落ちこぼれは小1で作られるからです。繰り上がり、繰り下がりと進んでいく中で、小1の後半頃になると、できる子とできない子の差が開き始めます。子どもの能力の差が顕在化し始めると、お母さんの目もだんだんつり上がってきてしまう。ですから幼児期から小1にかけてが、子どもの学習にとって1つの山場になります。この時期に早めに正しい学習方法を身につけさせ、「盤石な基礎」を作ることを心がけてみてください。喜ばしいことに、学校の教材はこの数年で非常に良くなりました。「盤石な基礎」を作った上でそれらの教材に取り組めば、高い効果を期待できます。焦って色々なものに手を出す前に、基礎の重要性というものに今一度、目を向けていただけたらと思います。

(取材・文/星野ハイジ)