できることを、よりできるようにするのが、「子どもを伸ばす」ということ

DUAL編集部 繰り返しやることで、「できるようになる」という感覚を子どもたちが味わえるのですね。ほかにも、子どもの力を伸ばすおすすめの学習法はありますか。

隂山 私は、最低限やるべきことだけをまとめた「たったこれだけプリント」というものを作りました。これも、もともとは教師時代の私の失敗から生み出された学習法です。

 過去に社会科で、すごくクリエイティブな授業をやろうとしたことがありました。古代の学習なら古墳に子どもたちを連れて行き、明治時代の学習なら、地域の鉱山を調べさせ、加えて、プリントをやり教科書をやり、・・・とあれこれ盛り込みました。しかし、テストをやったら、普段成績の良い子までも点数が悪かったのです。これにはショックを受けました。

 そこで翌年はやり方を変えました。「絶対にこの言葉だけは覚えないとダメ」というものをクイズ形式にしたプリントを作ったんです。「応仁の乱」「邪馬台国」といった回答を、必ず漢字で書かせるプリントで、1枚あたり20問。これを徹底的にやらせたところ、うまくいきました。普段のテストの成績が良くなっただけでなく、年度末の思考力や応用力を問うタイプのテストでも、クラス全員が全国平均を上回る成績を取ったのです。

DUAL編集部 プリントはどれくらいの分量だったんですか。

隂山 縄文時代から昭和までを網羅するのに、プリントは全部で7枚。1枚あたり20問ですから、たった140問あれば十分でした。「子どもが覚えるべきことって意外と少ないんだ」というのがこのときの発見です。「子どもはものすごくたくさん勉強しないとダメ」というのは単なる私の思い込みだったのです。

DUAL編集部 本当にそれだけで子どもが伸びるのか、と不安に思う親もいるのでは。

隂山 多くの親御さんたちは、「難しい問題を、たくさん解かせなきゃダメ」と思っているようですね。私は、その真逆の方法で子どもたちを伸ばしてきました。難しいことをじっくりではなく、簡単なことを少なく、高速でやらせる。そのかわり、徹底的に。すると、子どもはどんどん伸びるようになります。

 「子どもを伸ばす」といったとき、「できないことをできるようにする」ことをイメージする人が多いのですが、違います。「できることを、よりできるようにする」のが、「子どもを伸ばす」ことなんです。


写真はイメージです