基本的な生活習慣を整えようという風潮が、学力を伸ばした

DUAL編集部 日本の教育は、良くなってきていますか。

写真はイメージです
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隂山 教育はすごくうまくいくようになったと感じています。2003年頃、PISA(OECDによる15歳児の学習到達度調査)ショックといわれるように、日本の順位が下がった時期がありました。しかし2012年の調査では日本は上位に返り咲いています。また、私自身、実際に子どもたちと接している印象としても、最近の子どもって良いなと感じています。

DUAL編集部 なぜ子どもたちの学力は伸びたのでしょうか。

隂山 基本的な生活習慣を整えようという風潮が高まってきたことが影響していると思います。つまり大人たち自身が、「当たり前のことを、当たり前にやろう」という意識になって、学習や生活の正しい形が習慣化し始めたのです。習慣化すると、肩に力を入れることなく取り組めるようになるので、子どもは力が発揮しやすく、自然に伸びるようになるのです。

 ただ都心部は、中学入試があって、一番、真逆の環境になりやすいですね。子どもを難関校に入れるということにピリピリして、どうしても神経質になりやすい。小学校の一番大事なときに、プレッシャーの中で詰め込み型の勉強をさせられた子どもは、ゆくゆく大学に入ってからも学習姿勢が受け身になる傾向があります。最近は、都会に住むことに親御さんがなじめず、悩んでいる方もいるようです。