人間の集中力のもとは、幸福感や安心感

DUAL編集部 なぜ笑顔が大事なのでしょうか。

隂山 人間の集中力のもとは、幸福感や安心感なんです。お母さん自身が笑顔で幸せそうにしていると、子どもは安心して、落ち着いた精神状態で物事に取り組めます。するとしっかりと集中して、力を発揮しやすくなるのです。

 これまで色々なお子さんを見てきましたが、本当に伸びる子のお母さんって、ほがらかで、おっとりしていますね。せかせかしていません。逆に、必死になっているお母さんは、しかめっ面で、どうしてもイライラしてしまう。例えば、朝4時に起きてすべての条件を整えて子どもと旦那を送り出して・・・と必死になっていると「私がこれだけやっているのに、子どもはどうよ、旦那はどうよ、学校は・・・・・・」という気持ちになって、家族や学校とのトラブルも起きやすくなります。子どもの成長にとっては、単に親が一生懸命で、教育熱心であれば良い、ということにはならないのです。

DUAL編集部 まず親が意識すべきは、子どもに安心感を与えるということなんですね。

隂山 はい。というのも、子どもの成長モデルが変わってきたんですよね。昔であれば、「巨人の星」の星飛雄馬のように、「将来のために今は歯を食いしばって我慢する」という成長モデルがありました。しかしそれは、戦後という時代性が作り出したヒーロー像、いわば虚像のようなもの。戦後を乗り越えた現代においては、「伸び伸びと、楽しんでいる状態のときこそ力を発揮する」という新しい成長モデルが生まれました。

 自分を犠牲にし、我慢して辛い思いをして頑張るというよりも、まず子ども自身が、「面白い、楽しい」と感じていることが大事。そうしたイメージで、子どもの成長や、能力の発揮ということが捉えられるようになってきました。