知識の暗記では太刀打ちできない「適性検査」の中身とは?
公立中高一貫校の受検は、“受験競争”が過熱化するのを防ぐなどの理由から、私立中学受験のような教科別の学力試験は行わず、「適性検査」と呼ばれる筆記テストで入学者を選抜します。
今回、ここでは東京都立中高一貫校の適性検査について解説していきます。適性検査は、神奈川県ではグループディスカッション的な要素の「グループ活動」があったり、千葉県では一次検査・二次検査と2日にわたって入試が行われたりするなど、各都道府県によって内容が少し異なりますが、大きな意味で「適性検査」とはどういうものかを、東京都を例に紹介していきます。
都立中高一貫校の適性検査はⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つから成り、次のような内容になっています。
東京都に公立中高一貫校が誕生した2005年から2014年度入試までは、各校が独自の問題を出題していましたが、2015年度入試から形式が変わり、適性検査の一部が共通化されました。
一部というのは、適性検査Ⅰ・Ⅱにおける共同作成問題全4問のうち、各校において1問、または2問を独自問題に差し替えることができる、という規定になっています。また、適性検査Ⅲは、実施する、しないの選択が可能で、適性検査Ⅲを実施する場合は、共同作成問題の差し替えは1問のみとなります。
まず、「適性検査Ⅰ」の作文は、1文型と2文型の2種類あります。1文型は、私立中学の国語入試のように、論説文や説明文、随筆、エッセーなどを読解、要約し、自分の考えをまとめます。2文型は、2つの文章が出され、文章を比較し、それについて自分の考えをまとめます。どちらにも共通しているのは、課題文の内容を基に自分の意見や考えをまとめるという点です。
「適性検査Ⅱ」は大問1~3で構成されています。大問1は算数型、大問2は社会型、大問3は理科型の問題になります。ここで「○○型」という表現をしているのは、私立中学の教科別試験のように「学力を測る」テストではないことを伝えています。
例えば算数型なら、特殊算は出題されずに、試行錯誤の中で規則性を見つけたり、図形問題など自分の手や頭を動かすことで答えを見つけたりするものが出されます。
社会型なら歴史の年表や地図、写真、グラフなどの資料を見て、そこからどんなことがいえるかを問うもの、理科型なら実験・観察の方法やその結果から分かること、環境問題に対する考察などが問われます。
「適性検査Ⅲ」は独自問題で、理系を中心とした出題になっています。
こうした内容のものは、答えが一つでない場合もあり、単に知識の暗記では答えることができません。では、どんな対策が必要なのでしょうか? 次ページから、詳しく説明していきましょう。