教訓を楽しく学んだ落語

 ラストは春風亭柳朝さんによる落語。優しい語り口をした柳朝さんは、自身も3人の子どもを持つお父さん落語家です。

手をあげてもらうなど、積極的に子ども達に話題を振る柳朝さん
手をあげてもらうなど、積極的に子ども達に話題を振る柳朝さん

 この日、柳朝さんが披露したのは「てんしき」。知ったかぶりで負けず嫌いの和尚が、医者にいわれた「てんしき」という言葉の意味がわからず、小僧の珍念に「てんしき」を借りてこいと命じるというお話。

「落語は正座したまま、体一つで登場人物のいる状況や違いを表現するんですね」と解説した通り、体の向きと、話し方や表情、仕草までを変えて、複数人を演じ分ける柳朝さん。

 表現するのは人だけではありません。小僧の珍念が「へーい!」と長く返事をすることで、寺の廊下の長さまで表してしまうのです。それが「へーーーい!」とあまりにも長いため、子ども達は大ウケ。

手ぬぐいなどの道具も演出のひとつに
手ぬぐいなどの道具も演出のひとつに

 話は最後、珍念に間違った「てんしき」の意味を教えられた和尚が赤っ恥を掻いて終わります。知ったかぶりはいけないという教訓を、子ども達はおもしろおかしく学ぶことができました。

 終了後、子ども達に感想や印象に残ったことを聞くと、

「落語のお話が楽しかった!」
「好きなキャラクターを飴細工で作ってもらえて嬉しい」
「バンバンたたいてたの(絵付き講談)が絵も話もおもしろかった」

と、目をキラキラさせながら話してくれました。

 また、お父さん・お母さん達は口をそろえて「いろんな伝統芸能を見せられたのでよかった」と大絶賛。子どもの様子について「こうした公演や舞台は、普段ならすぐに飽きてしまうのに今日は最後まで楽しめていました」と話す人も。1時間あまりの公演を、親子で満喫できたようです。

 家族みんなで腹の底から笑ったこども寄席。新春にふさわしく、笑顔の絶えない1日となりました。

(取材・文/二川智南美[かみゆ] 写真/田口沙織)