こども寄席の目玉・絵付き講談に大爆笑

 獅子舞に少しざわついていた会場に「もう恐いことはしないからね?」と子ども達に呼びかけながら登場したのが、講談師・一龍斎貞寿さん。彼女が笑顔でこんにちはと呼びかけると、子ども達も「こんにちは!」と元気よく返します。

 貞寿さんが披露するのは、こども寄席の目玉である「絵付き講談」です。

 「この釈台という机に、張り扇をたたいて、リズムカルにお話しするのが『講談』というんですよ」といいながら、バンバン! と実際に張り扇をたたいて実演してみせる貞寿さん。普段はなじみのない講談について、しっかりと解説も入れてくれるのが、こども寄席が高い評価を得ているポイントです。

貞寿さんが右手に持っているのが「張り扇」。これを手前の「釈台」に打ち付ける
貞寿さんが右手に持っているのが「張り扇」。これを手前の「釈台」に打ち付ける

 さらに、今回は貞寿さんの後ろ、壇上の背景にプロジェクターで、講談にあわせて描かれた挿絵が映し出されます。「講談がわからなくても後ろの絵を見てもらえれば、だいたい話はわかりますからね!」と、さっそく会場を笑わせていました。

背後に映し出された絵を見ているだけでも、あらすじを理解できる
背後に映し出された絵を見ているだけでも、あらすじを理解できる

 貞寿さんがこの日話した講談は、江戸幕府を開いた徳川家康の家臣が主人公のお話「村越茂助」。武勇に優れていたけれど、文字が書けない茂助は、家康に一から十までの漢字を手ほどきしてもらいます。ある時、いつも茂助をバカにしてきた同輩達の前で、漢字を書いてみせることになりました・・・・・・というストーリー。

 漢字を覚えたばかりの茂助になりきった貞寿さんは、扇子を筆に見立てて、なんとも不格好な文字を空中に書いていきます。これには大人も子どもも大爆笑。

 会場には未就学の子ども達もいましたが、後ろに絵が映し出されていたのと、貞寿さんの全身を使った勢いあるパフォーマンスが、年齢に関係なく笑いを誘っていました。