4月に発生した「熊本地震」で大きな被害が出た熊本県では、現在も大勢の人が避難所生活を強いられています。余震が続くなか、大人や子ども達は、どのような状況下にあるのでしょうか。福岡にビジネス拠点を持ち、被災したビジネスパートナーや友人達から直接、現地の様子を聞く機会があったデザインコンサルタントの吉田和充さんに、「避難所生活の今」をリポートしてもらいます。

 熊本県熊本地方を震源とする最初の大地震が起こった4月14日、筆者は、遠くオランダにいた。3月末まで住んでいた福岡から、オランダへ移住したからだった。

 フェイスブックで「熊本で地震」の報に触れたのは、地震発生から2時間後。

 2005年に起きた福岡県西方沖地震を経験していないため、勝手に「九州は地震がないから安心」と思っていたこともあり、いきなり冷水を浴びせられた気分だった。同時に福岡や熊本にいるたくさんの友人、知人の安否が気になった。特に、一緒に仕事をさせてもらっている会社の本社や工場が、たまたま震度7を観測し大きな被害の出た熊本県益城町にあったのだ。

 そして週明け、徐々に被害の状況が明らかになるなか、何かの足しになればと思って、少しの水や食料を持って福岡に戻ってきた。

 福岡の街は、普段とあまり変わらないように感じた。街にいる人は少なく感じたが。

 そのころ、福岡では市長が指揮を執り、支援物資を組織的に集めていた。素晴らしいスピードである。これは今後も起こるかもしれない震災時に役に立つ、経験とノウハウではないかと思う。震源地に近い、近隣の大都市が組織的に機能することは非常に有効だと感じた

 取引先の会社では社員全員の無事が確認されたものの、家屋の全壊、半壊の被害に遭った社員も多く、避難所暮らしをしている人が大半だ。全壊はもちろん、家が半壊してしまった人や、家の柱が傾いた、壁にヒビが入ってしまった、という人などは、余震の恐怖で屋内に入ることができず、庭にテントを張って生活していたり、車内で寝ていたりすることが多いようだ。

避難所になっている小学校の建物の床にもヒビが
避難所になっている小学校の建物の床にもヒビが