避難所で生活しづらい子ども達

 徐々に物資はおおよそ行き渡り始めているようだが、それでも避難所での暮らしは厳しい。

 新学期を迎えた途端、今回の地震が起こり、連休明けまで休校が決まった学校は多く、子ども達は行き場も遊び場もない。とはいえ、避難所で子どもが騒ぐと、周りの人に迷惑をかけてしまう。体育館の倉庫でトランプなどをして過ごす子もいるものの、遊び盛りの子ども達が避難所で一日中することなく、おとなしくしていることは不可能に近いだろう

 実際に避難所では、子どもがうるさい、といった声が出ており、子どもの数も減ってきているという。昼間は家の様子を見に行ったりして避難所を離れ、夜になって戻ってくる子が多いというのだ。また、駐車場の車の中や、不安を抱えながらも半壊した家で夜を過ごす状態にある子どもも多いようである。

 先がまったく見えない避難所内での生活に、子ども達のストレスは徐々に高まってきており、ノロウイルスが発生したり、小さい子どもの発熱や体調不良が相次ぐなど、生活環境は非常に厳しい

 子どもが避難所にいづらい状況のようだ

 震災直後に被災地での炊き出しや物資配給などのボランティアに行った、北海道ナチュラルチーズ専門店「チーズのこえ」(東京・江東区)の代表取締役・今野徹さんも、こうした現地の状況を見てきており、「都心部で保育園をつくれない問題と根本は似ているのでは?」と言う。

 避難所では赤ちゃんの夜泣きが当然あり、周りへの配慮から、赤ちゃんが泣いたら一緒に外に出る人もいる。しかし、皆、疲れ果てていることもあり、夜泣きをしている赤ちゃんを外に連れ出す余裕のない人も多いという。

 今では赤ちゃんのいる家庭は周りへの配慮から、ほとんどが車中泊をしているようだ。エンジンを止めた車内の温度が上がるので、少し窓を開けて寝ていると、そこから蚊が入ってきて眠れなくなったりと、苦労は絶えない。赤ちゃん用の虫よけなども足りていないという。

 一方で、避難所に小さい子どもだけを置いて働きに出られないという親も多い。親類を頼ろうにも、そちらも被災していて、それどころではない、といったまさに八方塞がりの状態になりつつある。ただ最近は、高校生などがボランティアで子どもの相手をしてくれるので、子どもも親も大変助かっているという。また、子どもに遊び場を提供したり、勉強を教えたりしている民間の塾などもあるという。  

体育館の隅でトランプをして過ごしている女の子達。避難所で騒ぐと怒られることもあるという
体育館の隅でトランプをして過ごしている女の子達。避難所で騒ぐと怒られることもあるという