期待を背負う、公立中高一貫校の先生の役割
私立並みの充実した教育を受けられることも人気の要因の公立中高一貫校。それでは、先生の質は私立に比べてどうなのでしょうか。「ena」の中村絢香さんはこう言います。
「都立中高一貫校の場合、先生の募集は基本的には公募制です。例えば、先生達は桜修館なら桜修館に行きたいと手を挙げて行くことになりますので、やる気のある優秀な先生が集まりやすいというのはあるかもしれません。とはいえ、それぞれの学校で違いはありますが、私立の先生は大学合格実績を上げるために必死に仕事をするといった雰囲気。一方、公立は中学段階では生徒の興味・関心のある分野の力を伸ばすことを優先する雰囲気が強いなど違いがあるといえるかもしれません。さらに、私立は同じ学校に長年勤務する先生が多いのですが、公立は他の公立中学校・高校と同様に異動もあります。この学校の先生の評判がいいといった話も年度ごとに違うので、私立と比べて劣るとまでは言いませんが、学校によっては過度に期待し過ぎないほうがいいのかもしれません」
教育ライターの佐藤智さんも、公立中高一貫校には優秀な先生、やる気のある先生が集まる傾向にあるとしながらも、「私立と違って異動しなければならないというのがネックになっています」と指摘します。
教育ライター・佐藤智さん
「特別措置で長年勤務している先生もいるようですが、多くの場合、6~7年で異動します。6年というのは、例えば前期課程を担当した先生なら、2回りで終わりになるわけです。先生もようやく経験を積んで指導力が上がったなというところで異動しなければならないのは、大変な部分もあるかもしれません」(佐藤さん)
多くの先生にとって、公立中高一貫校の教師になるというのは、ある意味、出世コースとなるケースもあるようです。「進学指導重点校の先生もそうですが、異動で教育委員会に行くなど、現場を離れて、より教育の大局を見る立場を命じられる先生も少なくないようです」(佐藤さん)
もちろん、校長先生も2~3年で異動してしまいます。
「校長先生が替わってしまうと、その学校の特色が変わってしまうことも十分、考えられます。一般企業でも、トップが変われば経営方針がガラリと変わることだってあり得ますよね。ただそれは、公立に限らず、私立でも同じことが言えますが」(佐藤さん)
また、公立特有の問題もあるようです。
「私立は“その学校で教えられる教師”で採用されるので、中高の両方を教えられる先生が採用されています。一方、公立の場合は、中学校の採用試験を受けてずっと中学校を巡ってきた先生と、高校のみを巡ってきた先生ばかり。そんな先生方が中高一貫校に来て、いきなり一緒に仕事をすることになるわけです。まったく違う文化で経験を積んできた先生方が、同じ組織のなかで働くことになるのですから、教師間の連携がうまくいっていない学校もなかにはあるようです」(佐藤さん)
次ページでも、公立中高一貫校のメリットとデメリットをまだまだ見ていきます。
次ページから読める内容
- メリットの裏に隠れた、中だるみとミスマッチ問題
- 難関国公立大学の合格実績はこれだ!
- 大学進学実績を伸ばす、4年後の未来とは?
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