子どもだけでなく、大人の発達障害も少なくない
発達障害というと、発達に関わることだから子どもの話でしょう……と思う人も多いかもしれませんが、最近、注目が集まるようになっているのが「大人の発達障害」です。
実は、子どものころから発達障害の特性を持っていながら、本人も周囲もそれに気づかずに、大人になっている人は決して少なくないといいます。ごく普通に企業に勤め、家庭も持って、社会生活を送っている人も多数います。
今回、お話を聞いたどんぐり発達クリニックでは、基本的に子どもの発達障害を診療していますが、院長の宮尾益知さんは、クリニックを訪れる子どもの家族を見ていて気づくことがあるといいます。
「子どもに自閉症などの発達障害がある家庭では、手のかかる子どもの日々の世話から、学校生活や療育など、すべてをお母さんが一人で背負い込んでしまい、うつ症状になってしまうケースがよくあります。そういうお母さん達によくよく話を聞いてみると、父親にも子どもと似たような症状があることが少なくありません」
「例えば自閉症スペクトラム障害の一つ、アスペルガー症候群の人は、人の気持ちや立場、状況を理解するのが苦手です。父親にそうした特性があると、お母さんが子どもの相談を父親にしても『よく分からないから、医者に聞いてよ』と突き放してしまう。そういうやり取りが続くと、結果的にお母さんが孤立してしまい、一人で悩みを抱えて心身共に疲れ切ってしまうのです」(宮尾さん)
次ページから読める内容
- 片付けられない、時間にルーズ、忘れ物が多い、などの症状
- 家族はチーム。ねぎらい合い、支え合う関係に
- その子、その人の「強み」を伸ばす生き方を