親が変わると、子どもも変わる!? 親向けの支援
今回は、発達障害への支援の例を2つ、紹介したいと思います。まず1つ目は、発達障害の子どもを持つ親に対する支援です。
子どもだけでなく親の支援も非常に重要と話すのは、名古屋学芸大学・教授の黒田美保さんです。
「発達障害の支援で先を行くアメリカでは、子どもに対する療育プログラムの中に、必ず親向けのプログラムが含まれています。なぜ親の支援が大切なのかというと、親の子どもに対する関わり方によって、子どもの自己肯定感が大きく影響されるためです」と黒田さん。
発達障害がある子どもは、集団行動が苦手で、保育所や学校などの集団ではどうしても周囲から浮いてしまいがちです。また呼ばれても返事をしないとか、太っている人に正直に「太ってるね」と言ってしまうなど、周りの人を戸惑わせる言動も少なくありません。偏食が激しい、聴覚や触覚などの感覚に過敏性がある、決まった手順にこだわりがあるなど、独特の感性を持っている子もいます。そのため親は、「育てにくい」「子育てが難しい」と感じてしまうことも多くあります。
「そういう発達障害の子どもに対して、『忘れっぽくて手がかかるけれど、そこがかわいい』という感じで、子どもに肯定的に接することができる親の場合、子どもは自己肯定感も高く、素直で社会に適応しやすい青年に成長していくケースが多いと感じます。一方、最近は成人してから発達障害が判明するケースも多くなっていますが、小さいころから親に『ちゃんとしなさい』『どうしてできないの』と叱られ続けてきた人の中には、自己肯定感も、人や社会に対する信頼感も低く、改善が難しいなと感じられる人もいます。中には親子関係が既に破綻していて、親から生育歴を引き出すことができないケースもあります」