幼い兄弟が同居の男性に暴行されたうえ、橋から投げ落とされて水死した事件です。被害者を含む2つの父子家庭が同居していた状況で、兄弟は父親ではない同居の男性に殺されてしまいました。虐待の兆候を見つけた近所の人が児童相談所に通報したにもかかわらず、防げませんでした。事件は、子どもの虐待防止などを呼びかける「オレンジリボン運動」につながっています。

3人の子どもを育て上げ、高齢者支援を手掛けた後、里子9人の里親に

 24時間365日対応できる民間のショートステイを作らなくては。でも誰に任せたらいいのだろうか。虐待の通報窓口になる市役所が頼ったのが畠山さんでした。畠山さんは保育士や介護士、ケアマネジャーをしながら3人の子どもを育て上げたワーキングマザー。わが子が独立した後は高原地帯に引っ越して広い家を借り受け、老人ホームに入れず待機している高齢者を自宅で預かっていました。昼間は自分が働くデイサービスに連れていき、夜は自宅に宿泊させる……。そんな活動を知っていた市民活動支援センタースタッフから「畠山さんのところは泊まりもできるね」と声を掛けられたのです。

 それは今から12年前のこと。介護保険制度が施行され「高齢者支援の枠組みはできたから、今度は子どもの支援をしたい」と考えていた畠山さんは、団体設立と同時に里親になりました。これまでに9人の里子が畠山さんの家から巣立っていったそうです。暴力が当たり前の家庭に育った子ども達が思春期に荒れる様子を目の当たりにして畠山さんは考えました。「もっと早い時期に支援ができていたら」

 子どもの虐待防止のため、ショートステイを……。市から声を掛けられたのは、ちょうどそんなタイミングでした。まずは1年弱をかけて勉強から始め、行政とNPOが一緒に必要な事業について考えました。そして2006年1月、24時間相談できる窓口ができました。市役所からの委託費用は1日1万1700円×365日分だったといいます。

 24時間の受け入れ体制がどんなものか、一つの事例をご紹介しましょう。