皆さんは、わが子の子育てで「どうしてうちの子だけ、こんなに手がかかるの?」と戸惑ったことはありませんか? あるいは、子どもの友達やクラスの子に「言葉や行動が乱暴でちょっと気になる子がいて…」という経験はないでしょうか。

 とにかく落ち着きがない、友達の輪に入れない、着替えなどが身に付かない、忘れ物ばかりする、トラブルが多く先生に怒られてばかり――そんな子ども達の「気になる」「困った」「どうして!?」という姿の背景には、実は「発達障害(発達の偏り)」による困難さがあるのかもしれません。

 日経DUALでは、そんな子どもの気になる発達の偏りについて、特集記事として取り上げます。子どもの発達が専門の病院の医師、心理学の教授、また発達障害のある子ども達を支援している企業などに取材をしました。最終回では、「大人の発達障害」についても紹介します。2回目の今日は、発達障害のそれぞれの特徴について分かりやすく解説します。専門家が作成したチェックリストも紹介します。

【子どもの気になる発達の課題 特集】
第1回 クラスに2人が発達障害? 子ども達の現実
第2回 発達障害のある5歳児に、よく見られる特徴とは? ←今回はココ
第3回 「もしかして、うちの子は発達障害?」と思ったら
第4回 広がり始めた!発達障害の子どもと、その親の支援
第5回 「生きにくさ」の裏に、大人の発達障害が隠れている

 前回の記事では、発達障害というのは、子どもが社会生活をするうえで身に付けたい考え方や行動、生活習慣、学力などが、なかなか身に付きづらい状態のことだと説明しました。社会性やコミュニケーション力、学習能力などの特定の発達に遅れや偏り、困難さがある状態です。

 今の時代は30人クラスであれば、クラスに2人くらいは発達障害やその可能性がある子どもがいるのが「当たり前の風景」になっています。また発達障害というのは生まれながらの特性であって、決して子ども本人がだらしがないとか、我慢が足りないということではありません。もちろん、親のしつけが原因でもありません。

 子どもの発達が気になるというとき、具体的にはどんな様子が見られるのでしょうか?

 発達障害の特性というのは子ども一人ひとりで、非常に異なるものです。また年齢やその子の置かれている環境によっても、現れ方が大きく違って見えます。しかし一方で、発達障害のある子どもによくある特徴的な姿、というものもあります。5歳ころの発達障害のある子どもに見られる特徴をリストにしたのが、次ページのものです。(リスト作成/名古屋学芸大学・黒田美保さん)

 リストの項目のうち、いくつ当てはまれば発達障害という短絡的な判断はできませんが、あくまでも一つの参考と考えて、チェックを行ってみてください。

 <次ページからの内容>
 ・発達障害チェックリスト20項目
 ・発達障害は「脳のネットワークの不具合」
 ・遺伝的な素因はあるのか
 ・困っていることが多いなら、専門家に相談を