「入ったばかりの子はもちろんできません。できる子を見ながら、『やりたい』と自分で思って少しずつ工夫して練習しているうちにできるようになるんです。無理やりやらせたり、特訓したりもしません。子どもが『できるようになりたい』と思うことが、大事なんです。だからこそ子どもが伸びるんです。2、3カ月すると全員できるようになってるから子どもってすごいですよね!」(田中理事長)

 一方、2~3歳のグループでは、いすにきちんと座って朝の会が始まった。子ども達が向かっているホワイトボードには、

 「おはようございます。○月○日天気は晴れ。水曜日。今日は○○○○の日です。○○○○くんは、昨日逆立ちが20秒できるようになりました!」

と漢字にふりがながつきで書かれている。

 子ども達が先生と一緒に声をそろえて読み上げた。先生は常にテンポよくハキハキ話し、リズム感がある。みんな元気で活発。「おっとり」という言葉は、ここには似合わないかもしれない。

 「ここでは『教え込む』ということはしません。こうして毎日ボードに漢字があるので、2、3歳でも見ているうちに子どもは読めるようになっちゃうのです。そして、とにかく褒めます。ポジティブであることは大人も子どもも大事。大人だって褒められたらうれしいですよね。何よりやる気を引き出します。毎日1人ずつその子が達成できたことや良かったことを交代で褒めるんです。すると、他の子も自分もそうなりたいと思って伸びていくんです。だからこそ、先生も常にポジティブで、子どもたちに良い影響を与えることが重要なんです」(田中理事長)


2、3歳でもボードの文字を追って読めるようになっていく

「あなたサイコー!」 子どももスタッフも褒めて伸ばす

 グループは20人ほどになったり、4、5人に分けられたり、それぞれの取り組みに適した人数にその都度分け、スタッフもそれぞれのグループにつけるように多めに配置されていた。小さな個室もあり、そこで2人の3、4歳児が田中理事長とカルタを始めた。取り組みによっては、こうした1、2人だけに交代で取り出し保育にして行うこともあるという。

 「どれがいい?」と田中理事長が様々なカードの箱を見せると、子ども達は「漢字!」とうれしそうに声を上げた。

 漢字が書かれたカードがテーブルに並べられ、「そら」「うみ」と読み上げられるとすぐに子どもが「はい!」と見つける。悩んでいる様子もない速さだ。カードが取れると「Good Job(グッジョブ)!」と田中理事長が笑顔で褒める。するとまた子どもは集中する。


読み上げられるとすぐに「はいっ!」。もう一瞬で次の札を探している

 とにかく褒めるというスタイルは、この園のスタッフみんなに共通している。怒るところをほぼ見ることがなかった。もちろん危ないことへの注意はするが、基本的にはよくできたことには全力で褒め、それを見た他の子もまた頑張っていくようだった。

 「全力で褒めます。褒めると子どもはまた伸びていく。怒ったら縮こまって失敗を恐れるようになるだけです。褒められた子を見て、また他の子もああなりたいと頑張ります。もちろん褒めるときに全力で褒めること、途中でも頑張っている様子を褒めること、みんなを交代で褒めてあげることなどいろんなことを気をつけています。先生達もトレーニングや勉強会は、定期的に行って、常にお互いに高め合えるようにしています」(田中理事長)