受検倍率は私立の3倍に比べ、公立は約5~8倍

 さて、その人気ぶりは、入学の際の倍率に如実に表れています。2016年度版、最新の都内の公立中高一貫校の倍率を見てみましょう。

■公立中高一貫11校の募集人数、応募人数および倍率

出典:東京都教育委員会の資料を基にDUAL編集部で作成
出典:東京都教育委員会の資料を基にDUAL編集部で作成

 上図は、都内の公立中高一貫11校の倍率一覧です。倍率は昨年度より全体的に低下傾向にあるものの、それでも6~8倍が中心と、かなり高倍率となっています

 「東京都の私立の男子校御三家と呼ばれる人気校の『開成中学校・高等学校』『麻布中学校・高等学校』『武蔵中学校・高等学校』でさえ、倍率は3倍以下です。私立中学校は公立よりも募集人員の枠が大きかったり、多めに合格者を出したりする傾向があるのですが、それを考慮したとしても、いかに公立中高一貫校の人気が高いのか、数字から分かります」(佐藤さん)

 例えば、人気の高い「桜修館」に至っては、昨年度の倍率は9倍を超える事態となっていましたが、今年度はその反動からか多少下がりました。それでも、私立中学校に比べると、かなりの高倍率。それだけ、多くの受験生が殺到する人気校といえそうです。

 公立中高一貫校対策を行う塾「ena」の小学部長・中村絢香さんは、高倍率についてこのように語ります。

 「多くの都立中高一貫校は今から10年ほど前に開校したのですが、当初はとりあえず受検してみるという記念受検もする人が多く、高倍率となっていました。現在は、公立中高一貫校の対策をしっかり行わないと合格できないという流れがあって、当初のような記念受検は減っていますが、それでも高倍率。今後は、入試対策が必要という傾向が続いて、倍率そのものも下がっていくのではないかと思います」

 なお、地方の公立中高一貫校でも、3倍以上の倍率の学校が多く、なかには6倍以上といった、都立とあまり変わらない学校もあります。首都圏ほど高倍率ではないものの、地方でも高い人気を集めているといえそうです。