家庭が心の安心基地になれば子はすくすく育つ

原田 それはね、自分が変わると、聞いてくれるようになりますよ。夫が話を聞いてくれない、分かってくれないと嘆く人と話していると、自分で自分のことを否定しているケースが多いんです。どうせ私なんてダメ、私のことなんて分かってくれない…と思い込んでいたり。すると、それが無意識で相手に伝わり、まるで鏡のように自分を否定されるような反応が返ってくるんです。相手に大事にされたかったら、自分で自分を大事にすること。自己受容ができるようになると相手も受容できるようになり、相手からも受容されていきます

hitomi そうなんですか! 実は私も自分にダメ出しが多くてですね…。無意識に自分を否定しているときがあるかもです。もしかしたら、日本人って謙遜を美徳とする文化があるし、大人も子どもも自己否定が強くなる傾向があるかもしれませんね。

原田 日本の高校生の6割以上が「自分に価値がないと思っている」という調査結果もありますから。もし大人達が自分で自分を認めてイキイキと生きていたら、子どもも「そうなりたい! そうなれる!」って思えるはずなんです。でも、自信のない大人も多く、「子どもにどう関わるといいですか? どう育てるのがいいですか?」という相談をたくさん受けますが、「関わり方よりも、親の在り方」「しつけのテクニックよりも、親がどう生きているか」ですよ、と言っているんですね。

hitomi まず親自身の心の土台が大事で、「関わり方」や「しつけのテクニック」はその後なんですね。

原田 親自身が「短所も長所もひっくるめて、私は私でいい」と思っていたり、「毎日色々あるけど幸せ」って心の底で思えたりしていれば、正直しつけのやり方にはこだわらなくていいと思うんです。そのためにはまず、家庭が「心の安心基地」となっていることが大切。疲れたら「疲れた~」って言えたり、悩みがあったらすぐに相談できたり、喜怒哀楽を見せられたり。ママにもパパにも子どもにとっても、家が「心が裸になれる場所」になれたらいいと思うんですね

hitomi それはすてき! 大人だからって、親だからって余計な見えを張らずに、素でいられたらいいですよね。私も甘えたいときがありますもん。特に風邪を引いてエネルギー不足のときは、子どもから甘えられても「ママ、今日具合悪いんだから分かってよー」って申し立てちゃったり。夫から「hitomiちゃん、モノ出しっぱなしになってるよ。そういうとこダメだよねー」って叱られて、「そうなの! 私ダメなんだよね~」って明るく開き直っちゃったり。

原田 かわいいママですね! 親が自然体でリラックスしていると、子どもも安心して伸び伸びと過ごせますからね。それが、子どもがすくすく育つ秘訣です。

hitomi こんな調子でいいんでしょうか(笑)。何だか先生とお話ししていたら、気持ちが楽になってきました。子どもを認める以上に、まず親自身が自分のダメなところも良いところも認めることが大切なんですね。先生がおっしゃるように子育ては正解がないからこそ、迷うことも多いですが、それだけにしつけのやり方や情報にとらわれたり、他の家庭と比べたりせず、自分達家族のルールや理想を信じていけばいいんだって思えました。先生、今日はお話をうかがえてよかったです。素晴らしい子育てのヒントをありがとうございました!

 ――次回の記事では、「子どものしつけ」に関する読者からの質問にhitomiさんがお答えします!

原田綾子
HeartySmile代表、勇気づけの親子教育専門家。元埼玉県公立小学校教員、2児の母。アドラー心理学を基とした勇気づけの子育て講座や、母親自身がさらにHAPPYになるための心理学講座、教育コンサルティングをしている。「心が元気になる」「子育てに迷いがなくなった」「子どもが変わった」と好評で、関東のみならず、全国各地からの受講生も多数。著書に「ほめるより子どもが伸びる勇気づけの子育て」(マイナビ文庫)、「アドラー式『言葉かけ』練習帳」(JMAM)などがある。ブログは「勇気づけの子育て・自分育て HeartySmile

hitomi
1976年1月26日生まれ。1994年デビュー。歌手活動やタレント活動の他、アパレルや美容ケア商品のディレクションなども手がけている。今年、育児セラピストの資格を取得し、多方面で活躍の場を広げている。現在2児の母。詳しい情報はオフィシャルブログをチェック。

(文/伯耆原良子 撮影/有本真大)