自分で考え、決断できる子どもになるための「言葉がけ」

原田 そうですね。親が何でもやってくれたら、子どもは楽ですよね。自分で考えなくて済みますから。あと、小さいころから自分で考え判断し、行動する経験が少ないからか、そうした力が弱くなっている若者は増えていると感じます。すでに小学生でも「〇〇ちゃんはどうしたい?」と聞くと、「分かんなーい」とか「どっちでもいい」とか、曖昧な返事をする子も多いですよ。

hitomi 確かに自分の頭で考える機会が少ないからなんですね。将来も、指示待ち人間になってしまうのは嫌だな。

原田 そうなんです。そういう大人にならせないためにも、親や教師が小さいうちから自分で感じ、考える「問いかけ」をしていくことが大事だと思います。例えば、「あなたは何が好きで何が嫌いなのか?」「何がしたくて何がしたくないのか?」「その理由は何か?」というのを聞いていくんですね。

hitomi 「今日は何色のお洋服を着ようか?」と選んでもらうのはいいことなんですね。

原田 そう! hitomiさんはすでに実践していらっしゃいますが、子どもに選んでもらうのはとってもいいですよ。「黄色とピンクだったら、どっちがいいかな?」とか選択肢を出すのもいいですね。どっちがいいかを答えるだけでも、「自分で考えて決められた!」という成功経験になります。そこで「ピンクにしなさい!」と押し付けるから、自分の頭で考えなくなっちゃうんですね。

 よく見られる光景が、子どもが「おなかすいたー」と言うと、過保護な親御さんはここで「何が食べたい? おやつがいいの? おせんべいならあるよ!」と先回りして世話を焼くこと。これだとやってもらうことが当然になってしまいます。

hitomi あ~、うちの子もたまに言います。「このフタ、開けられなーい」とかだけは言うけど、じゃあどうしたいのかを最後まで言わない。そういうときは「だから何? どうすればいいの? 自分で考えてみなよ」って言っちゃいます

原田 いいですね! 私も「おなかすいたー」と言われたら、「ふーん」で終わりです(笑)。「お母さん、おやつが食べたいの!」と言ってきたら、「そうなんだ。どんなおやつが食べたいの?」とまず質問。「おせんべい! 今おうちにある?」と返事があったら、「あるよ。そこに入ってるからね」という感じで子どもに答えさせたり、行動させたりするんですね。

 最近、就職活動中に自分がどう進んだらいいのか分からなくなって、うつになる若者が増えていると聞きます。親の指示や親が敷いたレールに乗っていると、社会に出たときにたくましく泳いでいけませんものね。だからといって、幼少期からいきなり見放すわけでもなく、日常の中で子ども自身がどう思うのかを聞いていきながら、少しずつ自立の芽を育てていくのがよいと思います。

hitomi ホントそうですね。では、子どもが学校でお友達とケンカしたり、トラブルに遭ったりした場合はどうでしょう? 親はどういうスタンスで臨むのがよいでしょうか?