残業の多い部署でマネジャーだった私の、育児に関われなかった後悔

【男性の育児休暇取得必須化を経営に訴えた社員の声】

リクルートコミュニケーションズ
経営企画室・経営企画部
IT戦略グループ 兼 経営企画グループ 兼 ダイバーシティ推進部
山岸豊久さん

 私には小2になる娘がいますが、子どもが生まれた当時は育児に主体的に取り組むことができませんでした。自分を含め、ほぼ全員が長時間残業をするような部署でマネジャー職に就いていたということもありましたが、大きかったのは、「この状況で僕が育児に主体的に取り組むなんて無理だ」という思い込みや、「小さいわが子を育てる経験が自分にとって掛け替えのないものである」ということへの無知がありました。

 そして、子どもが2~3歳になってから後悔にさいなまれた。「なぜ僕はこの子が生まれた直後から、子育てに関わらなかったのだろう」と。正直、私が家事・育児に取り組まなかったことが原因で、夫婦仲が悪くなった時期もありました。

 日本の会社では、やはりまだまだ長時間残業が普通であることが多いでしょう。でも、それは変えなければいけない。母親が子どもを産んだら瞬間的に生活スタイルを一部変えざるを得ないのだから、男性だって父親になった時点で働き方を瞬間的に変えないといけないと思う。そうしなければ少子化問題は解決できないし、女性活躍推進や保育園の増設だけを訴えていても根本的な解決にはつながりません。

 弊社の社員研修の最終段階では、自分が真に成し遂げたいことを提案するというワークがあって、自分が本当にやりたいことは何かと考えたところ、「男性の育児参加を推進したい」という思いが湧いてきました。社員にヒアリングをすると「休めるものなら休みたい。自分の子どもの育児なのだから、当然関わりたい」「妻と家事・育児をちゃんと分担したい」という本音が聞けた一方、「仕事を休むことはイメージできない」という思いも聞けた。だからこそ、会社側が「育児休暇は取得して当たり前」という制度を作るべきだと提案したんです。

 淳さん(清水社長のこと。同社では下の名前で呼び合うカルチャーがある)は、お子さんが生まれるときに休暇を取るというマインドの持ち主ですから、きっと分かってもらえるという思いもありました。  

 自分にはできなかったことを、これから親になる人達には「当たり前」にしてほしい。私のような後悔はしてほしくない。育児休暇の取得だけでなく、例えば、子どもが小さいうちは会社から17時、18時に帰宅するような働き方をしてほしい。そんな思いで、今は社内のダイバーシティー推進に取り組んでいます。

【2016年4月に同社が導入した、その他の制度】

● 「早期復職手当て」:出産した女性社員が、子どもが生後6カ月に達する月末までに復職する場合、早期復職手当て(子どもが1歳に達する月まで、一律月額5万円)を支給する。目的は、早期に復職したいが保育園などの事情でできない女性社員へのキャリア形成支援。対象は社員、専門社員、契約社員。

● 「病児保育利用手当て」:未就学児が病気中、または病気の回復期にあって集団保育が困難な場合、病児保育施設もしくはベビーシッターなどの保育サービスを利用し、人事へ申請を行った場合に、1日2万円を上限に実費を支給する。回数の上限はなし。手当ての申し出を受けるにあたり、必要な各種証明書の提出を求めることがある。もともとあった「看護休暇」に、この「病時保育利用手当て」が加わり、本人が休むか、出社するか自由に選べる制度を整えている。対象は社員、専門社員、契約社員。

※ 病児保育利用手当て・看護休暇は男性も利用可