だからみどり保育園では、子犬がじゃれあっているみたいなけんかはしょっちゅう。原因は、お互いの誤解がほとんどで、とんちんかんなことばかり。好きでキスしたのに相手はかみつかれたと思う。お友だちのお片づけを手伝ったら邪魔したと怒られる。帰り際、お友だちのかばんを持ってあげたら、「自分でできる!」とへそを曲げられる。自分の気持ちを相手に伝えることは、なかなか難しいのです。

子どもは「けんかごっこ」。大人より仲直りを心得ているものよ

「第一章 保育園の子どもたちに襲えてもらったこと」より抜粋
「第一章 保育園の子どもたちに襲えてもらったこと」より抜粋

 子どものけんかには野次馬がつきもの。ひいきの助っ人がやって来る。いつのまにかこっち組とあっち組に分かれて、大騒ぎになるのです。

 けんかだって子どもは全力投球ですから、間に立つ大人も相応のエネルギーが必要です。私がやるべきは、目を離さないこと。間違った判定をしたら、信用はがた落ちです。争いの発端からしっかり見ていなくては、口出しできません。 

 まず間に入って、両者の言い分をじっくり聞いてから、仲裁役の出番です。誰にも恨みつらみを残さず、けんか両成敗。主任の腕の見せどころでした。

 子どもにとってけんかは、実は「けんかごっこ」ではないかと思います。原因はそっちのけで、むしろ遊び感覚で楽しんでやり合っている。けんかのあと、子どもたちはいっそう仲よくなりました。

お母さんがべったりついている必要はない。親は子どもが困ったときと、うれしいときにそばにいればいいのです。

 けんかになると、親はすぐに止めに入りますが、子どもにけんかはつきもの。仲なおりも心得ています。彼らは幼いなりに相手の言わんとすることを真剣に受け止め、自分の言い分を伝えるなどコミュニケーションの力を身につけていきます。

 子どもは子ども同士の遊びの中で社会性を養い、一人前になっていく。お母さんが24時間べったり子どもと過ごす必要はありません。親は子どもが困ったときと、うれしいときに、そばにいればいいのです。

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