医療機器メーカー・米クックメディカル副社長 兼 アジア・パシフィック地域担当ディレクター 兼 クック・オーストラリア マネージング・ディレクターであるバリー・トーマスさんと、日本法人クックジャパン(東京・中野)の社長・矢込和彦さんのインタビューをお送りします。なぜ日本人の長時間残業グセはなかなか治らないのか? オーストラリア人ビジネスパーソンの視点から、本音を語っていただきました。

医療業界従事者の労働環境。日本は他のアジア諸国と比べても苛酷

米クックメディカル副社長 兼 アジア・パシフィック地域担当ディレクター 兼 クック・オーストラリア マネージング・ディレクターであるバリー・トーマスさん
米クックメディカル副社長 兼 アジア・パシフィック地域担当ディレクター 兼 クック・オーストラリア マネージング・ディレクターであるバリー・トーマスさん

日経DUAL編集部 「働き方革命フォーラム『働き方変えろ、日本死ぬぞ』」の記事で紹介した矢込社長によるプレゼンテーションにあった通り、クックジャパンの営業担当者の中には、心臓血管外科医の手術に立ち会っているといった過酷な労働環境にある方もいらっしゃいます。そういった状況は御社グループの中でも、日本特有の現象なのでしょうか? それとも、どの国においても、医療業界従事者は苛酷な労働環境にあるのでしょうか?

バリーさん(以下、敬称略) いえ、他のアジア・パシフィック諸国と比べると、日本の状況はより深刻だと思います。オーストラリアの医師は外来担当と手術担当が明確に分かれています。手術が始まるのは夕方ですが、手術担当の医師が朝6時に家を出て病院に行くといったことはまずありません。手術担当は外来担当とはシフトが別に組まれているのです。

 私が日本のビジネスを見るようになった2001年から、私は日本の心臓血管外科や血管外科の医師とお付き合いするようになりましたが、その医療現場には何らかの社会的プレッシャーがはたらいているように感じることがあります。日本の医師達は「常に現場に張り付いていなければいけない」と感じていて、教授のほうも医師達に「そこにいてほしい」と感じているようなのです。

新幹線運転士もパイロットも勤務時間は管理されている。なのに、医師はなぜ?

バリー しかしながら、それが効率的なのかという疑問を呈する人はあまりいません。医師の皆さんを批判するわけではないのですが、冷静に考えて、朝6時から夜9時まで働き続けている人が、果たして職場で効率性や正確性を保つことはできるのだろうか、とつい考えてしまいます。

 もし長時間勤務を続けている状態で、例えば新幹線を運転する運転士がいれば、私達は止めるでしょう。同様にパイロットにも「操縦するな」と言うでしょう。それなのに外科医となると、長時間労働は止めたほうがいいとは言わないのです。

 これはもはや文化の問題でしかないと思います。私達は状況を変えなくてはいけない。しかし、すぐに変えられるものでもない。なぜなら、外科医の労働環境はいわゆる“病院文化”の一部だからです。教授が病院にいる間は全員がその場にいなければいけない。私もそういった現場に居合わせ、その精神性に触れたことがあります。

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  • 夫が連日多忙だと、妻は自分だけの世界を作り上げ始める
  • 日本の医師の働き方を変えるためには世論の力が必要
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  • “いつでも対応できる態勢”は、本当に必要なのか?
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  • オーストラリアでは専業主夫も普通のこと
  • 日本のビジネスシーンでは、家族の話題はまだまだタブー!?

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