最後に会場からの質問にパネラーが答える時間が設けられました。

何より大事なのは、社員同士のコミュニケーションや対話

会場からも積極的に質問が上がった
会場からも積極的に質問が上がった

会場からの質問 ネット通販業界で働いています。本社部門では在宅勤務制度の導入など、働き方改革が進んでいるのですが、物流や倉庫での働き方改革はやはり難しい。どのような施策が可能だと思われますか?

バリー 弊社はメーカーでもあり、流通業者でもあります。オーストラリアの物流現場では、働き方改革に従業員にも参加してもらっています。一人ひとりにヒアリングを行うと、「月曜から木曜までの週4日働くほうがいい」という人もいますし、「火曜から金曜まで働きたい」という人も、「平日は5日間全部働きたい」という人もいます。ジョブシェアリングも進めています。

 イギリスの実業家、リチャード・ブランソン氏の「従業員がハッピーであれば、顧客もハッピーである」という言葉に私も同感です。何より大事なのは、社員同士のコミュニケーションや対話。各社員が何をしたいのか理解し、その意向に沿うように制度を整えてみてはいかがでしょうか?

仕事好きでもいい。でも、それを周りに押し付けるのはタブー

会場からの質問 5年前から個人的に、ワーク・ライフ・バランスを取ろうと考えています。でも自分がやりたいことを突き詰めると、やっぱり仕事に戻ってしまいます。仕事より面白いものが見つけられないのですが……。

川島 ワーク・ライフではなく、ワーク・ワークでもいいと思うんです。それで幸せな方もいて当然でしょう。ただしその場合、2つのことに注意しなくてはなりません。まずは「今はワークとライフの両方を選択できる時代だ」ということを知ること。ワーク&ライフでも、ワークだけでも、ライフだけでもいいんです。そしてもう一つは、「自分がワーク・ワークの道を選んだとしても、それを部下や同僚、取引先、家族に押し付けてはいけない」ということです。

矢込 最後に、クックジャパンの取り組みを紹介します。弊社には数十人規模でフットサルを楽しむ活動があります。

 また、全国で働いている全社員に年末に集合してもらい、従業員の投票により選ばれた社員を表彰するという試みをしています。その中に、人事部が表彰する「一番有休を取ったで賞」というものがあります。有給休暇を一番多く取った人が表彰を受けるというので、他社から転職してきたばかりの社員は驚くようです。

 有給休暇の取得率がなかなか上がらないのはまだまだ弊社の課題でもあり、先日もバリーを含めて、どうやったら日本人社員が気持ちよく有休を取れるのか議論したところ、「インフルエンザにかかるかもしれないから、そのときに休むために年休を温存しておく」という意見が出たんです。それを聞いた経営陣が、年10日間、新たに有給の疾病休暇を設けることを決め、5月からその制度が始まっています。

 さらには「BeH&H」という取り組みを2~3カ月に1度開催しています。「Be Happy and Healthy」の略で、就業時間内に食事や運動など、社員の健康や興味を持っているテーマの講師を呼んでレクチャーをしています。

 以上で本日のフォーラムは終了します。本日はお集まりいただき、ありがとうございました。

* 次回は、米クックメディカル副社長 兼 アジア・パシフィック地域担当ディレクター 兼 クック・オーストラリア マネージング・ディレクターであるバリー・トーマスさんのインタビューをお送りします。

(取材・文/日経DUAL編集部 小田舞子、図デザイン/Coccoto 鈴木裕美子)