朝から夕方まで、子どもが長時間過ごす保育園。わが子が将来、力を伸ばしていけるようにと、読み書き・計算など、学習プログラムが気になっている方も多いことでしょう。「うちの園は、行事がたくさんあるのがいい」「ひらがなを読む練習をはじめている、ありがたい」などという部分に注目しがちではないでしょうか。

保育園での“日常の遊び”こそが将来につながる力を育む

 ところが、実は保育園での“日常生活の遊び”こそが、将来につながる力が身に付くチャンスだといいます。人気育児番組でもおなじみの玉川大学教育学部乳幼児発達学科の大豆生田啓友教授は、次のように話します。

 「乳幼児期にIQを伸ばすような勉強をしても、小学校低学年で追いついてしまうという研究の成果があります。むしろ大切なのは、将来大人になったときにも役立てられる、“非認知能力”を高めることだと言われています。意欲、自尊心、粘り強さ、感情調整力、人とかかわる力など、目に見えない力です。それらは、乳幼児期の“遊び込む経験”などの中で身についていきます。

 たとえば、2歳児が保育園で普通の水遊びをしているように見えたとしても、保育士がしっかり好奇心が育まれるような準備をしておくことで、「どうやったら容器から水が出るか」「水の量はどれくらいがちょうどいいか」などと自ら考えるようになり、問題解決能力が身についていきます

写真を活用した保育園の日常の“見える化”はこどもの成長を知るチャンス

「普段の遊びの中にこそ学びがある」と語る大豆生田啓友教授(2016年3月14日に開催された「スナップスナップ『親・子ども・先生 きずなプラス プロジェクト』メディアセミナー」より)
「普段の遊びの中にこそ学びがある」と語る大豆生田啓友教授(2016年3月14日に開催された「スナップスナップ『親・子ども・先生 きずなプラス プロジェクト』メディアセミナー」より)

 「保護者は、行事や読み書き計算などの勉強を園に求める方も多いかもしれませんが、普段の遊びの中にこそ学びがあり、将来につながる力を養える場なのです。ただ遊ばせているように見えて、様々な能力が身についているということは、保育園の活動の“見える化”によって、保護者に伝わっていきます。とはいっても園の送り迎えの際に、保護者の方に日常的な遊びを見てもらうことは難しいので、園での日常的な風景を“写真”で伝えることは、“見える化”する一つの手段になると思います

 確かに、子どもが保育園でどんな1日を過ごしているのか、“保育体験”や“保育参加”などで保護者が見学をしたりするほか、行き帰りのときに先生にお話を聞いたり、連絡帳を見たり、子どもが話す内容で知るくらいで、なかなか全貌はわからないというのが現状です。写真を活用した保育園の日常の“見える化”ができれば、パパママにとっては、こどもの成長を知るチャンスになります。

 そこで今回、保育園の日常の“見える化”などで定評のある、新町東保育園(東京都青梅市)を訪ねました。多くの保育園関係者が見学に訪れるという、工夫に満ちた人気の保育園です。

 新町東保育園では、2010年にインターネット写真販売サービス「スナップスナップ」(保育園のわが子の写真、満足していますか?参照)を導入し、写真ITを使った日常の見える化に力を入れています。スナップスナップの撮影が入っている日に訪れました。

広々とした園庭で園児が元気に遊ぶ新町東保育園
広々とした園庭で園児が元気に遊ぶ新町東保育園