お金も時間もあるというのは、ものすごく高度なこと。両方を持っているのは本当の成功者です。

 だとしても、僕は目指すべきだと思っていて、妻達の言い分も究極的にはここにあります。

 「不眠不休で働いて評価される、その位置でいいんですか?」「休みをきちんと取り、家族と過ごす。そのうえであなたのポジションを侵さないレベルのパフォーマンスを、仕事の時間にすればいいだけでしょう?」と。打席を減らして打率を維持せよ、と言われているわけですね。

 いやいや、仕事と家庭と2つの高みを目指すのではなく、仕事はゆるやかにしていいから育児と家事をしてほしい。そう考える女性もいらっしゃるでしょう。

 うちの妻の場合は、そうとは言わない。激烈に出世しろ、と(笑)。

 僕は、そうやってケツをたたいてくれる妻が好きですけれどね。期待されているわけですから、応えたい気持ちはあります。

 妻の立場で考えると、不安定な職業であるお笑い芸人と結婚することはリスキーです。でも、妻は選んでくれた。それは僕が仕事を頑張る励みの一つになっています。出世できるよう精進したい。でも同時に休みは取る。このとてつもなく高い山と向き合っています

主張し続ける。これは上世代との闘争である

 ただし、この“正義”には明らかな世代差があります

 「稼ぐけど休む」スタンスを明確にすることで、僕は数多くの男性を敵に回しています。特に年が上の方々で、猛烈仕事マンからの反感がものすごい。会社員ならば、上司から白い目で見られることがほとんどでしょう。「ゆとり世代」や「ワーク・ライフ・バランス」を嫌悪している世代っていらっしゃいます。

 上の世代からすれば、男も育児や家庭のことをして当然という価値観の変化は、自らのジェネレーションを否定されているように感じるのでしょう。

 だとしても、僕は「週1の休みが欲しい」と言い続けます。

 同世代で出産したばかりのタレント・SHELLYさんと番組でご一緒したときに、このことについて話をしました。SHELLYさんは「男性だって、同性の意識格差と闘っているんだ。それを、この世代代表として社会に知らしめないといけない。知らしめることに意義がある!」と、賛同してくれました。

 何が家族だ、休みだ、男が育児だ、なんてマッチョな考え方と闘っていくつもりです

(取材・構成/平山ゆりの 写真/片桐寿憲)