日経DUALが337人を対象に実施したアンケート調査で、DUALキッズの放課後の過ごし方として3番目に多く挙がったのが「自宅でのお留守番」(38.7%)。学年別にみると、4年生68.9%、5年生56.0%、6年生100%と高学年の高い比率が目立ちます。また、自宅で留守番をしている小学1年のうちの35.3%、2年の50.0%、3年55.0%、4年54.9%、5年で78.5%、6年の50.0%が「2時間以上」の留守番をしており、低学年でも一定層が、放課後に子どもだけの時間を過ごしています。

 子どもが自由に過ごす時間もつくってあげたいけれど、子どもの安全面やだらだらと過ごしてしまわないかが心配……。そんなDUAL読者に向けて、今回は、小学生の放課後の生活実態に詳しく自身も二児の母である埼玉大学教授・吉川はる奈さんから、「子どもだけで過ごす時間を安全かつ有意義にする」ためのポイントを教えてもらいました。

【新・放課後の過ごし方特集】
第1回 DUAL先輩キッズの意外な放課後の実態
第2回 放課後の「お留守番」 安全に、実り多く過ごすには ←今回はココ
第3回 週2~3日は「やりたいことができる」放課後を
第4回 受験だけじゃない! 放課後に、脳を育む習い事
第5回 どんな社会になっても…生きる力を育む習い事

子どもの成長とともに一人でリラックスする時間も必要

 アンケートでは、「学童を卒所して以来、放課後の居場所が無くなった」「学童から帰ってくる時間に親の帰宅が間に合わない」「子どもが学童に行きたがらなくなった」などの理由で、一週間のうちの数日、放課後に自宅で留守番をしている子ども達が約4割います。そのうちの8割以上が「1時間以上子どもだけで過ごした経験がある」という意外な結果も。こうした放課後の実態は、子どもの健やかな心身の発達上、大丈夫なのでしょうか。

 「子どもが一人で過ごすのは、寂しいんじゃないか、つらいんじゃないか、と親は思いがちですが、学年が上がるにつれて、子ども自身が一人になれる時間も求めていくものですよ」と解説をしてくれたのは、発達心理学を専門とする埼玉大学教授の吉川はる奈さん。

 「放課後を過ごすうえで大切なことは、子どもの『安全』と『健康』の2つ。健康とは体だけでなく、心も含みます。親は『放課後に一人にさせない』という安全対策を最優先に、子どもの予定をコマを埋めていくように考えることが多いため、いま子どもの中には、ふっと力を抜く時間がなかなかありません。放課後は、子どもが子どもらしく自分らしく成長できる場であってほしい。心身共に健康に育たないと、安全は単なる『檻の中の安全』になってしまいます。特に9歳前後は思春期に入り、こだわりも強くなるころ。成長とともに子どもの希望もくみながら親子で話し合い、平日放課後の居場所づくりをしていくことがとても大事です」

 <次ページからの内容>
 ・子どもの疲れのサインに気を付けて
 ・子どもだけのお留守番。ヒヤリとした経験
 ・家庭内のルールを作るときのポイント
 ・自宅で過ごす日、読者のトラブル回避術

写真はイメージです
写真はイメージです