子どもの成長とともに一人でリラックスする時間も必要
アンケートでは、「学童を卒所して以来、放課後の居場所が無くなった」「学童から帰ってくる時間に親の帰宅が間に合わない」「子どもが学童に行きたがらなくなった」などの理由で、一週間のうちの数日、放課後に自宅で留守番をしている子ども達が約4割います。そのうちの8割以上が「1時間以上子どもだけで過ごした経験がある」という意外な結果も。こうした放課後の実態は、子どもの健やかな心身の発達上、大丈夫なのでしょうか。
「子どもが一人で過ごすのは、寂しいんじゃないか、つらいんじゃないか、と親は思いがちですが、学年が上がるにつれて、子ども自身が一人になれる時間も求めていくものですよ」と解説をしてくれたのは、発達心理学を専門とする埼玉大学教授の吉川はる奈さん。
「放課後を過ごすうえで大切なことは、子どもの『安全』と『健康』の2つ。健康とは体だけでなく、心も含みます。親は『放課後に一人にさせない』という安全対策を最優先に、子どもの予定をコマを埋めていくように考えることが多いため、いま子どもの中には、ふっと力を抜く時間がなかなかありません。放課後は、子どもが子どもらしく自分らしく成長できる場であってほしい。心身共に健康に育たないと、安全は単なる『檻の中の安全』になってしまいます。特に9歳前後は思春期に入り、こだわりも強くなるころ。成長とともに子どもの希望もくみながら親子で話し合い、平日放課後の居場所づくりをしていくことがとても大事です」