職場復帰する場所は法律で保証されている

―― ミッコさんの著書を読んだり、当時の講演活動に耳を傾けたりする人の多くが女性だと伺いましたが、本当ですか?

ミッコ 私の講演に興味を持って来てくれる人の約8割は女性なんです。つまり将来のイクメンのパートナーですね。イクメンになりたい男性よりも、イクメンを持ちたい女性のほうが多いのが現実なのではないかと思います。パパがイクメンであることによって、まず女性のライフスタイルが変わりますから

 出生率の問題、女性の仕事復帰、保育園の問題などなど、今日本が直面している出産や子育てにまつわる課題の多くのヒントが、フィンランドにはあります。

―― 産休を取得し出産を終えた多くの女性は、仕事復帰することや仕事を続けることに大きな不安を持っています。フィンランド女性の場合はどうですか?

ミッコ 職種によって状況は少しずつ違うと思いますが、例えば私の妻は6年の産休を経て今年8月に同じ仕事場に復帰します。フィンランド政府が設ける産休の保障は通常、子ども1人につき3年間です。そして、たとえ何年産休・育休を取得したとしても、女性が職場復帰する場所は法律で保証されているんです

 フィンランドでの女性の仕事復帰にまつわる法案は、1980年代からあったものです。父親休暇だって、1980年代初頭には確立していました。

 さらに、フィンランドの保育園法は1970年代に確立しています。すべての子どもに無償で保育園に通う権利があります。それは、「預ける」という目的ではなく、幼少期においてのグループ保育が教育上大切であると政府が考えている証しでもあります