夫が仕事一本の生活していたら、子ども、妻のことが理解不能に
日経DUAL編集部 ミッコさんは日本滞在中、「イクメン大使」として様々な講演活動をしていましたね。日本の子育て事情や働くパパ達に、何かしらの疑問があったからなのでしょうか?
ミッコ・コイヴマーさん(以下、敬称略) 私が日本で仕事を始めた2010年ごろ、ちょうどイクメンという言葉が出てきたのですが、当時、大使館の報道・文化担当として広報活動の一環で、フィンランドの子育て事情を紹介する機会を多く持ちました。
そのとき感じていたのは、日本の働き方はいまだにバブル時代のようだということ。朝から深夜まで多くの人が働いています。1日8時間と割り切って働くヨーロッパの人達から見れば、不合理にも思えます。深夜も会社のイスに居残ることは、仕事の効率を低下させるだけでなく、生きていくバランスにとても悪いのではないかと思うんです。さらには、家族のバランスも崩れていくような気がしました。男性が仕事一本の生活をしていたら、まず子どもの世界は理解不能ですよね。そしていつの間にか、妻のことも理解できなくなってしまいます。
妻のほうだって、ずっと家庭と子育てに集中をしていたら、夫のこと、そして社会のことが分からなくなってしまう。それって、家族というグループで生きていくうえでとても危ないことだと思ったのです。