自分の「長所」や「急所」が見えると力が湧いてくる

 さて、あなた自身がこれまでの人生で経験してきたことをあらためてグラフの上に取り出してみて、いかがでしょうか。

 実は、この「人生曲線」からは「あなたのストレスの受け止め方」が見えてくるのです。

 例えば、小さいころにすごく傷つく経験をした人は、わが身を守るために、「周囲は自分を傷つけるかもしれない」と身構える態度が身に付くことがあります。すると、日常の人間関係でも、なにげない態度や言葉に反応しやすくなったり、人目がやたらと気になることがある。「自分の同僚は、同じことを言われても全然平気そうなのに、どうして自分はこんなに反応しやすいんだろう」と悩んでいた場合でも、「これは私が自らを守るための防御反応だったのだな」と気づくことによって「まあ、こうやって気にしてしまうのも仕方がないよね」と認めることができ、心がラクになることがあります。

 さらに、あなたは、どの出来事に★マークをつけたでしょうか?

 ★マークが「うれしかったこと」の場合は、生き生きと輝いていた、怖いもの知らずだった自分を思い出してみましょう。

 そういえば、自分は人をまとめるのが得意だった。学園祭で飾り付けを考えるのが楽しかった。そんなエピソードを思い出すと、忙しさやプレッシャーから封じ込めていた「自分が得意なこと・好きなこと」を思い出すきっかけになるかもしれません。

 一方、★マークが「つらかったこと」の場合は、そのとき、どうやって私は立ち直ったのか、を振り返ってみましょう。

 自分が努力したこと、工夫したこと、あるいは助けてくれた人の存在を思い返すうちに、今、直面している壁に対しても「きっとなんとかなる!」「一人で抱えていないで誰かに相談してみようかな」と思えるかもしれません。

 少し前は上がり曲線だったけれど、現時点では曲線が下がってきている…というときにも、「前回はこうやって立ち直った」と自分自身の経験を具体的に振り返ることができ、気持ちを切り替えるきっかけにできるのが「人生曲線」のメリットです。

うつっぽい状態のときは、ワークよりもまず休息を

 1つだけ注意点があります。

 眠れない、落ち込んで意欲が湧かない、というふうにうつっぽい状態になっている人には、「人生曲線」のワークを積極的にはおすすめしません。なぜなら、うつ状態になると、過去も現在も未来も、すべてをネガティブ目線で見てしまうようになるからです。

 その理由は、エネルギーが落ちていて、戦う力が底をついているから。本能的に、危機を感じ取るセンサーが反応しやすくなるのです。過去を振り返れば「つらいことばかりだった」と後悔し、将来を想像しても「悪いことが起こるのではないか」と不安になる、そして不安要素を潰すために対策を取らなければ、と焦る。うつ状態のときにはこのように、後悔、不安、焦りという3つの感情が一斉に発動します。

 「この状況は一生変わるわけない。だって、過去もそうだったから」。そんな考えが心を占めるようなら、「人生曲線」のワークをするよりも最優先にすべきは、休息すること。3日程度お休みを取り、ひたすら眠る、という休息方法で、心身のエネルギーを取り戻すよう努めてください。