今何も手を打たなければ、男女の昇進の平等が達成されるまでに100年かかる

 しかしその一方で、企業で役職が上がるごとに女性の比率は低下するという事実もあります。入社時の男女比はだいたい1対1ですが、スライドの右端、つまり「Cレベル(上級役員)」の層になると10%台まで下がるのです。

 階層ごとの数字は年々上がってはいますが、その速度は速くありません。これについては世界各国で議論が起こっています。一定数の女性を登用するクオータ制(割当制)を採用すべきか、任意目標数値を設定するか、それとも、何もしないのか。もし現状のまま放置すると、入社時には50対50で始まる男女間の平等がCレベルでも達成されるようになるまでに100年かかると言われています。

女性が管理職を目指すべき理由は、企業をよりよくするため

 ところで皆さんの中には「企業においてダイバーシティーは本当に重要なのか」と思っている方もいるのではないでしょうか?

 2日ほど前、IMDの日本のアルムナイ(修了者)クラブのメンバーである、様々な企業の男女数十人と会って話す機会がありました。グループを作ってもらい、自由に質問をしてもらいました。全部で20ほど出た質問の中で、6問が同じ内容でした。それは「本当に女性は、リーダーになるという志を持つべきなのだろうか?」というものだったのです。「今のままでも、いいのではないか」というのがその真意だと思います。

 そもそも、なぜ私達女性は管理職を目指さなければならないのでしょう? 

 それは、上級管理職の女性がその企業環境を変えていくからです。上級レベルの管理職に女性がいれば、仕事のあり方が変わります。そして女性にとってよりよい企業になるということは、男性を含めて全員が働きやすくなるというように、企業そのもののレベルアップにつながるのです。