「上級管理職の女性割合が高い組織は、ROEが高い」で紹介した、昨年12月12日(土)に虎ノ門ヒルズ フォーラム(東京都港区)で開催された日経ウーマノミクス・フォーラム「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」。「女性リーダーの強み」をテーマに、ご応募いただいた日経ウーマノミクス・フォーラム女性会員が充実した時間を過ごしました。

キーノートレクチャーでは、スイスに拠点を置く世界トップクラスのビジネススクールIMDで「女性向けリーダーシップ・プログラム(Strategies for Leadership)」を主宰するギンカ・トーゲル教授が登壇。世界中の女性エグゼクティブを教えてきたトーゲル教授の考えと思いをたっぷり伺いました。当日の様子を詳しくリポートします。

期待よりは遅いかもしれないが、女性を取り巻く状況は確実に変化している

 今日は私が非常に強い熱意を持っていることについて皆さんにお話しすることができ、とてもうれしく思います。私達女性を取り巻く状況は実際は日々変化しているのですが、日常の中ではあまり感じることがないかもしれません。では試しに、今から93年前の1923年にまで時間を巻き戻してみましょう。

 下の書類をご覧ください。これは1923年のものです。これから教員になるという独身女性に渡される契約書なんです。中身を見てみましょうか。

 当時の独身女性教員は、20時から翌朝8時までは外出が禁じられていました。髪の毛を染めたり、ビールやウイスキー、ワインを飲んだりすることも許されていませんでした。明るい色の服を着てもいけませんでした。この契約書には、そういった条件項目が長々と書かれています。これを見てみると、当時から比べれば、現在は女性の置かれている状況が大きく改善されていると言えるのではないでしょうか。その変化のスピードが期待よりは遅かったとしても……。

(c)IMD2015
(c)IMD2015

 次に、企業における女性管理職の割合に関する表を見てみましょう。

 ノルウェーでは2008年、「上場企業では取締役の40%を女性にしなければならない」という野心的な法制度が施行され、その結果、女性管理職の割合は非常に高くなっています。イギリスは「2015年までに上場企業の取締役の25%を女性にする」という任意目標を定めました。そして、1カ月ほど前(2015年11月)、この目標を達成したという発表がありました。このように世界各地において変革が見て取れるわけです。