「家風」のない現代では各家庭の試行錯誤が大切
――夫婦間で家庭のルールを新しく決める上で、気を付けるべきポイントはありますか。
母親だからこうしなくちゃいけない、父親だからこうしなくちゃいけないということではなく、それぞれの得意分野で子育てに関わるというのが大切です。
料理が得意な父親もいれば、日曜大工が好きな母親もいる。世の中には多様性があります。「人間にはいろんな人がいるんだ」ということを子どもに教えてあげるのは父親の重要な役割だと思います。
新聞の子育て相談コーナーを担当していた時に、旦那さんからの投書で「奥さんが子どもにすごく怒る」という相談が多くありました。男からみて「そんなに怒らなくてもいいだろう」と思うくらい怒るので、子どもにとって良くないんじゃないかと。
ですが、そういう奥さんをもらったのは自分なんですね。だから、もちろん程度の問題はありますが「子どもを怒ってはいけない」という価値観にとらわれるのではなく、うまく奥さんのこともフォローしてあげてほしいですね。たとえば「女性というのは体の調子が悪かったりするとすごい勢いで怒るんだよ、こういうのはちょっと我慢しておけば機嫌が直るから」と言ったりとか。
家族は父親がいて、母親がいて、そして子どもがいるといういわば共同生活です。その中で自分の役割を考えて、自分が行動した時の反応をフィードバックしながら少しずつ変えていく。昔は家風というものがあったので、考えなくてもそこに従えばよかった。でも今の父親には、トライ&エラーで考え続けることが求められているんです。