がんで実際にかかった費用はいくら?

 保険の原則は、貯蓄で対応できない“もしも”に備えるためのもの。2~3日の短期入院であれば医療費も少額でしょうから、医療費が高くなる長期入院に備えるのが本来の保険の考え方に適しているといえそうです。

 とはいっても、保険料を払っていれば1日目から受け取りたいと思うもの。そこで最近の保険は、日帰り入院など入院1日目から給付金が支払われるものが主流になっています。

 入院1日目から支払われる医療保険を希望する場合は、「初期入院特約」を付けて対応できる商品と、1日目からの設定がそもそもない商品の2パターンがあります。特約の後付けができるなら追加して、できない場合や後者の場合は、当初4日間の給付金をもらうために、別の医療保険に入り直すのかどうか、現在の健康状況と、今後の総支払保険料を考慮して検討しましょう。

 ② がんになった義母が「がん保険に入っていてよかった」というので、抗がん剤治療の費用など、がんになったときの経済的負担に備えたい。

 「身内や知り合いが、がんでお金がかかったと言っていた」という話を耳にするご相談者さんは多いのですが、「お金がかかった」と言っても、その感覚は人により様々です。そこで少し突っ込んで「具体的にいくらかかったかお聞きになりましたか?」と聞いても、「そこまでは……」と言葉を濁される方ばかりです。

 具体的なお金の話は、身近な人でも聞きにくいものですが、実際にがんを経験した人の治療全般にかかった費用は100万円ほどに収まるようです。

 また、ニッセンライフとNPO法人がん患者団体支援機構が実施した「がん患者アンケート」(2010年、2014~15年)によると、がん患者にがんになったときに必要と思った保障を聞いていますが、1位は「入院しなくても通院時に保険金が受け取れる」と「抗がん剤治療特約」、2位は「がんと診断された時点で一時金が受け取れる」というものでした。実際にがんを経験した人の治療費の出所は、保険と貯蓄が半々という結果からも、がん保険を頼りにしている人は少なくないといえそうです。