今年、食塩販売の天塩が4月6日を「天塩(あましお) 塩むすびの日」に制定したそうです。この「塩むすび」。子ども達からリクエストされることがあっても、実はうまく作るコツはあまり知られていないのではないでしょうか? 塩むすびをおいしく作るコツをプロに教えてもらいました。

シンプルでおいしい日本の食事を通して、食の大切さを教えたい

服部栄養料理研究会会長/服部栄養専門学校・常任理事の服部津貴子さん
服部栄養料理研究会会長/服部栄養専門学校・常任理事の服部津貴子さん

 4月6日、東京都新宿区にある天塩の本社で「プロが教える おいしい塩むすび教室」が開かれ、約40人の参加者が集いました。

 最初に行われたのが、服部栄養料理研究会会長の服部津貴子さんによるセミナーです。 「子どもって意外とシンプルな食べ物も好きですよね。でも実は、シンプルな食べ物こそコツが必要なんです。今日はぜひ塩むすびをおいしく作るためのポイントを学んでいってください」。

 服部さんは「ではその前に」と前置きしつつ、日本の政府が国として打ち出している食育の基本方針について解説しました。日本の食育の基盤となっているのは2005年に制定された「食育基本法」です。この法律ができた背景には、食事の大切さが家庭で教えられなくなったという現実があります。

 食育基本法が制定された理由は様々あります。

 「食事の前後に『いただきます』『ごちそうさま』という挨拶をしない家庭が増え、食に対する感謝が失われました。食事の時間が夜遅くなるなど、生活リズムがおかしくなる人や、食事の栄養バランスが偏り、生活習慣病にかかる人が増えました。女性の間では過度の痩身願望が高まって、必要な栄養を摂らない人も増えましたよね。こういったことが医療費の増加につながったのです。一方で、食の海外への依存度が高まって、日本の食料自給率(カロリーベース)は39%まで下がったため、国内の食料を積極的に選んで自給率を上げなければいけない、という問題意識も強まったわけです」(服部さん)

 塩むすびは米と塩と水だけで作ることができるシンプルな一品。「親子でおいしい塩むすびを作りながら、日本の食について話してみてはいかがでしょうか?」(服部さん)。

 では、次のページから服部栄養専門学校、日本料理、主席教授の一枚田清行(いちまいだ・きよゆき)先生に、おいしい塩むすびの作り方を教えてもらいましょう。